薩摩鶏交雑ブロイラーに関する研究 : 第3報 薩摩鶏交維ブロイラー肉の一般化学的組成
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概要
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前報で作出した薩摩鶏交雑ブロイラー4品種の肉質の一端を調査する目的で前報と全く同一の供試鶏より分析用試料を採取した.分析用試料としては純筋肉として胸筋(Mm.pectorales), ブロイラー肉として一般に供用されている混合筋肉として後肢筋(主としてMm.membri pelviniで結合組織や脂肪組織を含む)を各試験区ごとに採取し, 細切したのち均一によく混合し, 一般化学的組成を調査し, 新鮮物中, 固形物中にとりまとめ, 筋肉部位別に, 雌雄別や日齢別による試験区別に比較を行なった.いまその結果についてのべると次のとおりである.(1)薩摩鶏交雑ブロイラー4品種の胸筋を雌雄別に8試験区から63日齢, 70日齢および85日齢において採取し, その一般化学的組成を調査した.筋肉の一般化学的組成の中で変動の多いのは粗脂肪含量であるので, 以下粗脂肪含量で比較することにする.63日齢ではSA×WR(P)の雌区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BPの雄区, SA×NHの雌区がこれに次ぐ成績を示したが, 雌雄別には一貫した傾向は認められなかった.これは供試鶏が成長の途中にあるためと考えられる.次に試験区別の比較を容易にするために雌雄平均値で比較してみるとSA×WR(P)区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×WR(A)区の順であった.70日齢ではSA×NHの雄区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BPの雄区, SA×BPの雌区がこれに次ぐ成績を示したが, 63日齢時同様に雌雄別には一貫した傾向は認められなかった.これも供試鶏が生長の途中にあるためと考えられる.次に雌雄平均値で比較してみると, SA×BP区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×NH区がこれに次ぎ, SA×WR(A)区, SA×WR(P)区の順であった.85日齢ではSA×WR(P)の雄区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BPの雌区, SA×BPの雄区がこれに次ぐ成績を示したが, 雌雄別には一貫した傾向は認められなかった.これはやはり供試鶏が生長の途中にあるためと考えられる.次に雌雄平均値で比較してみると新鮮物中, 固形物中ををとおしてSA×WR(P)区が最も高く, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×WR(A)区, SA×NH区の順であった.(2)薩摩鶏交雑ブロイラー4品種の後肢筋を雌雄別の8試験区から63日齢, 70日齢および85日齢において採取し, その一般化学的組成を調査し, 粗脂肪含量で比較してみると次のとおりである.63日齢ではSA×WR(P)の雌区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BPの雄区がこれに次ぐ成績を示したが, 雌雄別には一貫した傾向は認められなかった.これは供試鶏が生長期にあるためと考えられる.次に雌雄平均値で比較してみると, SA×WR(P)区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×WR(A)区, SA×NH区の順であった.70日齢ではSA×WR(P)の雄区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BPの雌区, SA×WR(P)の雌区がこれに次ぐ成績を示したが, 雌雄別による一貫した傾向は認められなかった.これはやはり供試鶏が生長期にあるためと考えられる.次に雌雄平均値により比較してみるとSA×WR(P)区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×BPがこれに次ぎ, SA×WR(A)区, SA×NH区の順であった.85日齢ではSA×WR(A)の雄区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×WR(P)の雄区, SA×WR(P)の雌区がこれに次ぐ成績を示したが, 雌雄別による一貫した傾向は認められなかった.これはやはり供試鶏が生長期にあるためと考えられる.次に雌雄平均値で比較してみると, SA×WR(P)区が新鮮物中, 固形物中をとおして最も高く, SA×WR(A)区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×BP区の順であった.以上のとおり後肢筋化学的組成の粗脂肪含量は各日齢ともSA×WR(P)区が最高値を示したのは興味が深い.(3)薩摩鶏交雑ブロイラー4品種の胸筋の粗脂肪含量を日齢別に雌雄平均値で比較してみると, 一部の例外を除いては日齢の増加に伴い新鮮物中, 固形物中とおして漸増の傾向は認められるが, その差はわずかであった.次に後肢筋の粗脂肪含量を日齢別に雌雄平均値で比較してみると, 胸筋の場合と同じく一部の例外を除いては日齢の増加に伴い新鮮物中, 固形物中をとおして漸増の傾向は認められるが, その差はわずかであった.
- 鹿児島大学の論文
- 1975-03-20
著者
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小島 正秋
Animal Products Processing Research Laboratory
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加香 芳孝
Animal Products Processing Research Laboratory
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後藤 静夫
鹿児島県養鶏試験場
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持田 行盛
鹿児島県養鶏試験場
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