薩摩鶏交雑ブロイラーに関する研究 : 第2報 屠殺解体試験
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概要
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鹿児島県養鶏試験場で昭和45年4月19日に孵化した薩摩鶏交雑の4品種, すなわちSA×WR(A)の雌雄, SA×WR(P)の雌雄, SA×NHの雌雄, SA×BPの雌雄, 計8試験区を設け, 各試験区とも60羽ずつ飼育し, それぞれ63日齢, 70日齢および85日齢において各試験区から平均体重に近いものを3羽ずつ選出し, 計72羽の供試鶏について屠殺解体を行ない各部位別に生産量を測定した.いまその結果をとりまとめると次のとおりである.(1)薩摩鶏交雑ブロイラーの各部生産割合の試験区別比較を肉利用の見地から可食部総量についてのべると, 63日齢時ではSA×WR(A)の雄区が最高値を示し, SA×WR(P)の雄区, SA×WR(A)の雌区がこれに次ぎ, SA×NHの雄区, SA×BPの雄区, SA×WR(P)の雌区, SA×NHの雌区, SA×BPの雌区の順であり, 70日齢時でもSA×WR(A)の雄区が最高値を示し, SA×WR(P)の雄区, SA×WR(A)の雌区がこれに次ぎ, SA×NHの雌区, SA×BPの雄区, SA×NHの雄区, SA×WR(P)の雌区, SA×BPの雌区の順であった.85日齢時でもSA×WR(A)の雄区が最高値を示し, SA×WR(P)の雄区, SA×WR(A)の雌区がこれに次ぎ, SA×NHの雄区, SA×BPの雄区, SA×WR(P)の雌区, SA×NHの雌区, SA×BPの雌区の順であった.63日齢時, 70日齢時および85日齢時とも上位3位までは同じ傾向を示し, また63日齢時と85日齢時とは同じ傾向を示し, 肉用種に薩摩鶏を交雑したSA×WR(A)区はとくにすぐれた成績を示した.生体重に対する可食部総量の割合はいずれも50%前後を示し, 日齢の進むに従い雄の方が雌に比べてやや高値を示す傾向があるが, その差はわずかであり, 各試験区間にいちじるしい差異は認められなかった.(2)薩摩鶏交雑ブロイラーの各部生産割合の雌雄別比較を前項と同じく肉利用の見地から可食部総量で比較してみると, 63日齢時では各品種とも雄の方が雌よりも高値を示し, 雌雄間の差の割合が最も大きいのはSA×WR(P)区で, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×WR(A)区, SA×NH区の順であった.70日齢時ではSA×NH区を除いては, いずれも雄の方が雌より高値を示し, 雌雄間の差の割合が最も大きいのは63日齢時と同じくSA×WR(P)区でSA×BP区がこれに次ぎ, SA×WR(A)区, SA×NH区の順であった, 85日齢時では各品種とも雄の方が雌よりも高値を示し, 雌雄間の差の割合の最も大きいのはSA×WR(A)区で, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×WR(P)区の順であった.生体重に対する可食部総量の割合は, いずれも50%前後で雌雄間に一貫した著しい差異は認められなかった.(3)薩摩鶏交雑ブロイラーの各部生産割合の日齢別比較を前項と同じく可食部総量で比べてみると, 雌の場合, 各試験区とも日齢の多い程高値を示し, 63日齢より85日齢まで増量割合の多かったのはSA×WR(P)区で, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×WR(A)区の順であった.雄の場合も各試験区とも日齢の多い程高値を示したが, 63日齢より85日齢までの増量割合の多かったのはSA×WR(A)区で, SA×NH区がこれに次ぎ, SA×BP区, SA×WR(P)区の順となり, 雌の場合と逆の結果であった.次に雌雄平均値の場合も各試験区とも日齢の多い程高値を示し, 63日齢より85日齢までの増量割合の多かったのはSA×WR(A)区で, SA×BP区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×WR(P)区の順であったが, 雌雄別々の場合に比べて試験区間の差はわずかであった.生体重に対する可食部総量の生産割合は日齢の進むに従い, わずかに増加する傾向がみられたが, その差はわずかであった.(4)薩摩鶏交雑ブロイラー全供試鶏の試験区別比較を前項と同じく可食部総量で比べてみると, 前報で発育成績のよかった順にSA×WR(A)区が最高値を示し, SA×WR(P)区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×BP区の順であった.生体重に対する可食部総量の生産割合でもSA×WR(A)区が最も高く, SA×WR(P)区がこれに次ぎ, SA×NH区, SA×BP区の順であったが, その差はわずかであった.(5)以上薩摩鶏交雑ブロイラーの屠殺解体成績を総括すると各試験区とも市販ブロイラーよりも小型化しており, 肉用種に薩摩鶏を交雑したものは発育成績がよく, SA×WR(A)区は屠殺解体成績でも最もよい成績を示し, SA×WR(P)区がこれに次ぐ成績であった.卵肉兼用種に薩摩鶏を交雑したものは前者に比べて発育成績もやや劣り, 屠殺解体成績ではSA×NH区, SA×BP区の順であった.
- 鹿児島大学の論文
- 1975-03-20
著者
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小島 正秋
Animal Products Processing Research Laboratory
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加香 芳孝
Animal Products Processing Research Laboratory
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後藤 静夫
鹿児島県養鶏試験場
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持田 行盛
鹿児島県養鶏試験場
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