マダイ・コイ卵巣の冷蔵及び凍結処理による物理・化学的性質の変化

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本研究は, その多くの部分が廃却されている魚卵の有効利用を図るため, 魚卵の冷蔵および凍結処理がその品質に及ぼす影響を明らかにするために行ったものである。対象とする魚卵として, 海産魚のマダイおよび淡水魚のコイから採取した。いずれも成熟・産卵リズムを考慮に入れて採取された魚体から卵巣を摘出し, -5℃で7∿8日冷蔵貯蔵したもの, および-40℃で急速凍結後, 1,3,6,12ヶ月間凍結保管したものを用いた。卵の実体顕微鏡による形態観察, 重量・塩分濃度・pH測定, 超遠心分離した卵のゲルろ過クロマトグラフィーによる上清タンパク質分子量測定, 水・NaCl溶液中での偏光顕微鏡観察及び卵面積計測を行った。マダイ卵巣は肌色で卵の形状は不均一で小さく, コイ卵巣は灰色で卵は均一で大きかった。凍結後, いずれも赤みを帯び, 透明化した。マダイとコイで塩分濃度, pHには差がなかったが, 凍結によりpHはいずれも低下した。遠心分離によって得られたペレット量は凍結によりいずれも減少した。上清タンパク質は凍結により分子量の大きい成分の増加がみられた。また, 冷蔵貯蔵によっても同様の変化が認められた。偏光顕微鏡観察によれば, 全体的に不透明であった卵が, 凍結により透明化し, また, 凍結6ヶ月後でコイは水中で, マダイは2.5%NaCl中で卵面積が増大する傾向がみられた。いずれの卵も凍結により卵内部の性状および性質が大きく変化し, 卵膜と卵内部液への分離が容易になり, 浸漬液の卵内部への浸透性も向上することが分かった。なお, 魚卵の有効活用のために最適な凍結貯蔵期間については, 魚種や凍結方法, 貯蔵温度, さらに加工目的による検討が必要と思われる。
福岡女子大学の論文
2001-01-31

マダイ・コイ卵巣の冷蔵及び凍結処理による物理・化学的性質の変化

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