屈折率測定による高分子固体表面での選択および配向吸着性の新しい評価方法
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概要
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2種以上の混合溶媒に高分子固体を浸漬した際に起こる特定溶媒の固体表面への選択的な吸着(選択吸着)及び吸着分子の配向状態(配向吸着)を定量的に測定する方法を提案する。次にこの方法を親水性または疎水性または疎水性溶媒中の再生セルロース固体表面へ適用し, 溶媒分子の選択吸着と配向吸着の様子を明らかにすることを目的とした。固体試料として微細構造が明らかにされている平均孔径35nmの銅安法再生セルロース中空糸膜(BMM35)を利用した。屈折率が1.53以上の溶媒として桂皮油, キノリン, フェノール, ベンジルアルコール, テトラリンを, 1.51以下の溶媒としてメタノール, エタノール, アセトン, n-ヘキサン, n-ヘキサデカン, トルエン, ベンゼン, セダー油を用いた。これらの溶媒を混合し, 試料の浸漬用媒体とした。混合溶媒中での固体表面の屈折率をベッケライン法で測定した。繊維軸方向に振動する光の固体表面での屈折率n_∥と繊維軸に垂直方向に振動する光の屈折率n_⊥を測定した。固体表面での複屈折率Δn (≡n_∥-n_⊥)と固体表面での平均屈折率n_<iso> (≡(n_∥+2n_⊥)/3)を算出した。等体積比の混合溶媒に対して浴比1 : 10でBMM35を浸漬した際の残液の組成より選択的に吸着された成分を決定した。残液の組成を(1)屈折率, (2)ガスクロマトグラフィ, (3)赤外吸収スペクトル法で決定した。その結果, (1)メタノールとアセトン以外は固体表面のn_<iso>から判定した選択吸着性は上記(1), (2), (3)の残液の分析結果からの試料全体としての選択吸着性と一致した。(2)メタノール分子はセルロース固体内部に溶解状に吸着し, そのため固体表面での選択吸着は顕著ではない。(3)親水性溶媒と疎水性溶媒混合系からは親水性溶媒が選択吸着する。親水性溶媒同士の混合系からは, 水酸基を有する溶媒, 分子量が大きい溶媒の方が固体表面に選択吸着する。疎水性溶媒同士の混合系からはベンゼン環あるいはn-パラフィンが固体表面に選択吸着する。(4)固体表面へ配向吸着する基として, 水酸基, ベンゼン環, 水素結合能を持つ原子を含む基が固体表面へ最接近するように配列する。したがって固体表面への低分子の選択吸着性は本研究で提案したn_<iso>で, 配向吸着性はΔnで定量的に評価できる。親水性溶媒は分子鎖の繊維軸方向への配向を持つ再生セルロース中空糸膜表面に選択吸着し, その際水酸基を繊維表面上に横たえて配列するように配向吸着する。一方, ベンゼン環は繊維表面にその環面を平行になるように吸着する。
- 1999-02-25
著者
-
藤岡 留美子
福岡女子大学人間環境学部
-
真鍋 征一
福岡女子大学人間環境学部
-
真鍋 征一
福岡女子大学人間環境学部:(株)シグマーリサイクル技術研究所
-
藤岡 留美子
福岡女子大学 人間環境学部 生活環境学科
-
宮脇 由美子
福岡女子大学人間環境学部
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