魚卵膜配向パラメータと物性・官能の相関

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分子配向状態の指標である配向パラメータ(Op)と物性, 官能検査との相関性を明らかにし, Opに及ぼすNaCl濃度の影響を明らかにする。サンプルとして凍結解凍スケトウダラ原卵真子を用いた。卵の浸漬液はNaCl水溶液濃度2∿8重量%とした。卵とNaCl水溶液を2対1の割合で混合し, 30分浸漬撹抖, 15分水切り後の試料を測定用卵とした。試料の配向パラメータとして, 5重量%ポリエチレングリコール中での値を測定し, 卵一粒の破断強度測定と, 官能検査を行った。物性はNaCl水溶液浸漬により破断荷重, 破断歪率ともに浸漬水溶液初期濃度(Co)8重量%NaCl水溶液侵漬で著しく低下した。しかし配向パラメータと物性の間には直線的な相関はみられなかった。官能検査評価値はNaCl濃度が高くなるにしたがって, 見た目の粒子感, 舌触り, 塩味の評価値は高くなり, 粘りは減少した。しかし配向パラメータと官能の間にも直線的な相関はみられなかった。配向パラメータはCo 6重量% NaCl水溶液浸漬卵で最高値を示し, この時の卵の塩分濃度は2.5%であった。そこで卵の浸漬溶液をCo 6重量%の前後で分けると, 配向パラメータと物性や官能との間には密接な関係が認められた。このことより, 6重量%以上のNaCl水溶液中へ卵を浸漬すると, Opのみでは不十分であるような複雑な微細構造変化が卵膜中で生じていることが示唆された。
福岡女子大学の論文
2001-01-31

魚卵膜配向パラメータと物性・官能の相関

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