<研究論文>アルギン酸塩を媒体とした卵膜分散体の作製方法とその物質透過特性 (III) : 複合体膜の吸着特性

概要

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魚卵膜と高分子材料の複合体膜は物質透過制御材料としての可能性を持つ。その吸着特性は輸送特性にも大きく影響し, 複合体膜の化学構造と物質透過性能とを関連づける上で重要な性質と言える。本報告では水溶液中の染料分子, DNA分子および有機溶媒に対する複合体膜, アルギン酸バリウム単独膜および卵膜単独の吸着特性を明らかにする。その結果, 水溶液中の染料分子は初期の拡散の律速が孔中の拡散で, 後期はアルギン酸の固体内の拡散にあることがわかる。特に塩基性染料ではアルギン酸のカルボキシル基によって塩基性染料は吸着され, 固体内拡散は増加する。また, 複合体膜とアルギン酸単独膜の拡散の比較から, 魚卵膜とアルギン酸とを複合することによって, アルギン酸バリウム単独膜と比較して水溶液中の染料分子の拡散が高くなることがわかる。魚卵膜はDNAに対しても吸着能を持つ。有機溶媒の吸着においては複合体膜の使用条件よって吸着支配型と分配支配型の両者の寄与が変化することがわかる。複合体膜を物質輸送制御材料として利用する際には, 吸着・分配・膨潤作用を組み合わせて最適条件を設計する必要がある。
福岡女子大学の論文
2002-03-20