円形断面を持つ湿式紡糸繊維の屈折率測定に及ぼす浸液媒体の屈折率の影響

概要

論文の詳細を見る
円形断面を持つ湿式紡糸繊維の例としてネットプロセスで作製された銅安法再生セルロース繊維を取り上げた。干渉顕微鏡を用いて (1) 平均の空隙率δ_2, 繊維自体の屈折率 (n_<ογ> とn_<οα>) と複屈折 (Δn_ο) の評価の理論的基礎および解析方法を確立し, (2) これらの値に対する測定時の浸液媒体の屈折率n_2の影響を明らかにし, (3) ネットプロセスでの繊維の製造の際の紡糸速度の繊維構造への影響を明らかにすることを目的とした。繊維軸方向に振動する光とそれに垂直な方向に振動する光のそれぞれの屈折率n_γおよびn_αとn_2との関係を示す理論式を導出した。この理論式によりn_γとn_αとをn_2の関数としてプロットした図より, (1) の諸特性値を評価する方法を確立した。理論式および解析方法の妥当性を確認するため, 市販の銅安法再生セルロース繊維 Bemberg^【○!R】にこれらを適用した。別途測定した空孔率と本研究で提案した空隙率が一致しすることにより本研究での解析方法の妥当性を実証した。再生セルロースとの分子間相互作用の小さい疎水性溶液媒体として, セダー油, 桂皮油, およびnーヘキサンの混合物を用いた。紡速を130m/分〜600m/分に変化させて, ネットプロセスによって作製した銅安法再生セルロースを本解析方法を実際に適用する試料とした。干渉顕微鏡を用いて2種の屈折率n_γとn_αとをn_2の関数として測定した。本研究で提案した解析方法を用いて, n_<ογ>とn_<οα>, △n_οおよびδ_2の紡速依存性を示した。その結果, 紡速を上昇させるとフィブリル化が進行し, かつフィブリル内の結晶化度あるいは分子鎖の充填密度が上昇することを明らかにした。
福岡女子大学の論文
2004-03-01

円形断面を持つ湿式紡糸繊維の屈折率測定に及ぼす浸液媒体の屈折率の影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク