アルギン酸塩を媒体とした卵膜分散体の作製方法とその物質透過特性 (II) : 複合体膜中での魚卵膜の分散状態の評価方法

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魚卵膜と高分子材料とで構成される複合体膜中の魚卵膜の分散状態を表現するための新たな構造パラメータ(卵膜の局所的な体積分率χ_aと分散パラメータλ)を提案し, 特にλの評価方法を示し, このλの有用性を明らかにすることを目的とした。膜面に垂直に入射した光が魚卵膜を通過することなく分散媒体の高分子材料のみを通過する確率を1-λであるとして分散パラメータλを定義した。入射光強度をI_0,透過光強度をIとするとLambert-Beerの法則が成立するとして, (1)式が導出される。I/I_0=(1-λ)exp(-μ_a・d)+λexp-[μ_a・d(1-χ_a/λ)+μ_m・d・(1-χ_a)/λ] (1) ここでμ_aおよびμ_mはそれぞれ分散媒体である高分子材料の吸収係数および魚卵膜の吸収係数であり, dは複合体膜の膜厚である。複合体膜としてスケトウダラ卵膜とアルギン酸とで構成された膜を利用した。アルギン酸の重量分率χ_a'=10∿30%の複合体膜を湿式の流延法で実験室規模で作製した。紫外可視分光計により吸収スペクトルを測定し, 種々の波長でのμ_aおよびμ_mを算出した。その結果, (1)式に代入するI/I_0の測定値として, (2)式のI/I_0を算出し, これを代入すれば, 散乱光の寄与を除去し, またμ_a=0cm^<-1>となる。log I/I_0=(280nmの吸光度)-2,4・(350nmの吸光度)+1.4・(400nmの吸光度)(2) 卵膜の実測値よりμ_m=200cm^<-1>が決定でき, これを(1)式に代入すると(1)式よりλの決定が容易な(3)式が導かれたI/I_0=(1-λ)+λexp[200d・(1-χ_a)/λ](3) λが大きいほど複合体膜の物質透過性に占める魚卵膜の寄与が大きい。実験室レベルで作製された複合体膜ではλの値は1以上となったり, あるいは理論的最小値以下となる場合もあった。魚卵膜の分散は理想的な状態からかなり外れており不均一な分散状態に止まっていることが明らかとなった。χ_aの局所的な不均一さとλの増大を計る改良が実験室レベルの製膜技術には必要である。
福岡女子大学の論文
2001-01-31

アルギン酸塩を媒体とした卵膜分散体の作製方法とその物質透過特性 (II) : 複合体膜中での魚卵膜の分散状態の評価方法

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