マダイとコイの卵細胞の凍結解凍前後における形態変化

概要

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魚卵膜有効利用のため, その基礎情報を収集することを目的とした。海水魚でマダイ, 淡水魚でコイを選定し, それぞれ成熟・産卵リズムをふまえたサンプリングを行い, 卵巣構造を調べた。また, 凍結解凍に伴う卵細胞および卵膜の形態変化を生鮮卵との比較を通して検討した。成熟・産卵リズムをふまえたサンプリングにおいて得られた適切な卵巣は, マダイで46.3%, コイで100%であった。卵巣における卵細胞の分布の様式は, マダイでは多峰型を示し, 様々な発達段階の卵細胞が混在して認められた。一方, コイでは2峰型を示し, 小型の未発達卵と大型の発達卵が混在して認められ, マダイと比較して均質であった。凍結解凍に伴う形態変化として, マダイとコイのいずれにおいても, 卵細胞は核や卵黄球などの細胞内構造が崩壊し, 均質化が起こっていた。一方, 卵膜はその基本的な構造を維持していた。以上, 魚卵膜の利用に際し, 原料卵巣は, サンプリングのしやすさや卵巣構造の面からマダイよりもコイの方が適当であると考えられた。また, 卵膜は卵巣の凍結解凍を経てもその構造を維持しており, 魚卵膜の利用に耐えうることが示唆された。
2001-01-31