偏光顕微鏡を用いた魚卵膜の微細構造解析法

概要

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水溶液中での卵の構造(特に分子の配向性)をその状態のままで評価する方法として偏光顕微鏡を用いる方法を提案する。まず評価方法の理論的基礎を示し, その理論に基づいた実験方法を提案し, 最後に実際に本方法を適用した例を示し本方法の有効性を示すことを本研究の目的とした。卵の形状が球または回転楕円体で近似する。それぞれにつき(1)卵の内部の位置によって微細構造が変化しない均質な光学的異方体と(2)卵膜のみが光学的異方性を持ちそれ以外の部分では光学的に等方体との2種の場合についてリタデーションΓの測定箇所依存性を表す理論式を導いた。この理論式を利用してΓの数値計算を行ない(1)と(2)との差を定量的に明らかにした。Γの最大の位置を決定できれば試料がいずれのモデルで表現出来るかが明らかとなる。またΓの絶対値が測定されれば光学的異方性の定量的表現となる正常光と異常光との屈折率比が決定できる。Γを測定する方法として3種の実験方法を提案した。それぞれの方法でスケトウダラの原卵, 塩蔵卵, 味噌漬け卵のそれぞれの分子の配向を評価した。その結果, 卵の光学的異方性を与えている部分は卵の周辺部(すなわち卵膜)にあることが明らかとなった。この卵膜内での分子の配向の程度は原卵に比較して塩蔵卵や味噌漬け卵の方が大きい。これらの実験事実は本研究で提案した評価方法の有用性を実証する。
1997-02-25

偏光顕微鏡を用いた魚卵膜の微細構造解析法

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