定常法による拡散係数測定装置の開発

概要

論文の詳細を見る
中空糸を用いて定常法による拡散係数の測定の前提条件である圧力差にもとずく物質移動を零にする要請を満足させ, 10^<-8>cm^2/sec以下の拡散係数を定常法で測定可能にする装置の開発を目的とした。回路内の試料の前後の位置に連動型送液ポンプを導入し, 試料への入口と出口での回路の流速を完全に一致させることにより回路からの濾過を見掛け上零にした。中空糸の中空部の長手方向に生じる圧力差は試料長および送液速度を共に小さくすれば無視できる。また送液ポンプの連動送液速度の誤差は2台の同型の連動送液ポンプを用いた2種の回路での拡散係数を平均化する補償法によって原理上解消できた。そのため濾過による物質移動を消すことが出来拡散係数は10^<-9>cm^2/sec以下でも測定可能となった。同時に膜中に滞留する成分量も評価できる。エチレングリコール(EG), 分子量400のポリエチレングリコール(PEG)およびOrange IIの水溶液の銅安法再生セルロース中空糸(平均孔径35nm)膜中の拡散係数を本装置で測定した。Orange IIの拡散係数は従来の結果と一致し本方法での測定の有効性が実証された。またEGとPEGでは拡散過程中での膜内部に残留することが明らかとなった。この残留量を定量的に求めることが出来, その結果定常状態での拡散は膜中に一定量のEGまたはPEGを残留した状態で行なわれていることが明らかとなった。Orange IIでは拡散係数は単調に減少し定常値に達する。この変化は拡散の初期に起る共存イオンの拡散の影響と考えられる。
福岡女子大学の論文
1997-02-25

定常法による拡散係数測定装置の開発

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク