溶媒の配向吸着を利用した繊維表面のナノ加工

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液体中の溶媒分子が高分子固体表面へ配向吸着することを実証し, (1)配向吸着に影響する因子の解明, (2)配向吸着を利用した新規な後加工法を提案することを目的とした。試料として微細構造の詳細が明らかな2種の多孔性銅安法再生セルロース中空糸BMM35及びBH3と乳酸繊維を用いた。浸漬溶媒として四塩化炭素, フェノール, メタノール, 水を用いた。各試料を各種溶媒中に浸漬し, 偏光顕微鏡のクロスニコル下における繊維外壁部近傍の干渉色を観察した。この干渉色をリタデーションに換算し, 基準溶媒の四塩化炭素中におけるリタデーションとの差を測定することにより, 溶媒分子の配向吸着によるリタデーション値を算出した。その結果, リタデーションの実測値と溶媒の化学構造から定まる分極率の計算値との関係から, 溶媒分子の繊維表面での配向状態(配向の方向)を定量的に記述することができた。したがって, (1)干渉色法が溶媒分子の配向吸着性を二次元的に確認する有効な評価方法であることが実証された。また, (2)溶媒分子とセルロース分子との間の水素結合の形成が配向吸着に影響することが明かとなった。水の配向吸着層の形成を利用して高温脱水処理により, セルロース固体表面における水酸基の配向方向を制御することができ, これによりナノ加工法による試料表面の特性を変化させるナノ加工の一例を提案することができた。
2001-01-31

溶媒の配向吸着を利用した繊維表面のナノ加工

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