溶媒分子の繊維への配向吸着の新しい評価方法

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高分子鎖の配向を持つ高分子材料の表面に吸着する液体状低分子の配向特性と吸着状態を定量的に評価する新しい方法を提案することを目的とした。試料として微細構造が明らかである平均孔径35nmの銅安法再生セルロース中空糸膜BMM35^<TM>を用いた。配向吸着をする典型的な溶媒としてフェノールを用いた。配向吸着に関係なく常に繊維自身の複屈折率を与える溶媒として四塩化炭素を利用した。繊維の外壁部付近の干渉色をクロスニコル下での偏光顕微鏡で観察した。干渉色よりリターデーションΓを読みとる。フェノール中での試料のΓ値と四塩化炭素中でのΓ値の差より溶媒分子の配向吸着によるΓ値を算出する。溶媒分子の分極率の理論値より配向吸着した際の分子の複屈折率の理論値Δnを求めて, Γ/Δnより配向吸着層の厚さを評価する方法を確立した。この方法をフェノール中のBMM35に適用した。その結果, フェノール分子はその水酸基をBMM35の表面に向けて, ベンゼン環をこの表面に垂直に配向させて再生セルロースに吸着する。この吸着層の厚さは約0.2μmで, これは直接測定法の値と一致した。フェノールの温度を下げた際に生じる結晶化はこのフェノール分子の配向に原因して配向した結晶が生じた。本論文で提案した干渉色を利用した配向吸着の評価方法の有効性が実証された。
2000-02-25

溶媒分子の繊維への配向吸着の新しい評価方法

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