デオキシリボ核酸 (DNA) の孔中での拡散機構
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概要
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DNA分子が液中での分子の拡がりより小さい径あるいは剛体球としての径より小さい径の孔中を拡散透過する機構を明らかする。次に分子篩と吸着との両性能を持つウイルスおよびDNAの両者を除去できる新しい膜の開発の可能性を示すことを目的とする。平均孔径10および35nmの銅安法再生セルロース中空糸(BMM^<TM>)を用いた。DNAとしてλphageのDNA(平均分子量3.15×10^7)および牛胸腺DNA (1.4×10^7)を用いた。孔中の吸着体としてβカロチン(536)をもちいて牛血清アルブミン(6×10^4)との特異的な吸着を行った。濾過として一定膜間差圧下でのデッドエンド型濾過を実施した。拡散係数Dは定常法で303,318,および333Kで測定された。その結果;(1) DNA分子はブラウン運動によってその形を糸状にして10nmの孔中を拡散通過する。(2)分子量の分布が広いとDは見かけ上大きくなる。(3)測定過程でのDNA分子の分解によるDの変化は無視できるが分子に負荷されるずり応力が大きくなるとDは増加する。(4)平均孔径35nm∿10nmの範囲では平均孔径の小さいほうがDは大きい。(5)平均孔径35nmの場合は拡散の活性化エネルギーは0.3kcal/molで水分子の拡散のそれに近い。(6)平均孔径10nmでは拡散は孔壁を構成するセルロース分子のセグメントの熱運動に影響されその活性化エネルギーは7.5kcal/molである。(7)大きな孔中にβカロチンのコロイド粒子を残存させこれにアルブミンを吸着させて改質した膜ではアルブミンのD値を減少させることができる。したがってDNA分子はその水中での分子の拡がりよりはるかに小さな孔内部を拡散通過できる。約10nmまで孔径を小さくすると孔壁部とDNA分子との相互作用が生じ, 孔壁部を構成する高分子鎖の熱運動性が拡散性に影響する。また35nmの孔では高分子鎖の影響を受けずに毛細管モデルで拡散挙動は記述できる。
- 1999-02-25
著者
-
住吉 智子
福岡女子大学人間環境学部
-
樋口 亜紺
成蹊大学工学部工業化学科
-
藤岡 留美子
福岡女子大学人間環境学部
-
真鍋 征一
福岡女子大学人間環境学部
-
松山 明子
福岡女子大学人間環境学部
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真鍋 征一
福岡女子大学人間環境学部:(株)シグマーリサイクル技術研究所
-
藤岡 留美子
福岡女子大学 人間環境学部 生活環境学科
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