低温貯蔵中のヨウサイにおける細胞構造の変化と褐変障害の発生
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概要
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ヨウサイの低温障害発生に伴う葉や茎の組織及び細胞内小器官の変化を調べた. 光学顕微鏡を用いてヨウサイの葉の細胞を観察したところ, 20°C5日貯蔵の葉では, 収穫当初のものと比べて特に変わるところはなかった. 1°C5日貯蔵の葉ではすでに一部に褐変が発現していたが, 外観上障害のみられない部位を採って調べたところ, 表皮細胞内部にAM-BFによって濃く染まる粒子がみいだされたが, 他の組織には明らかな変化は認められなかった. 茎については低温による影響は特に見られなかった.電子顕微鏡で葉の細胞内小器官を観察すると, 収穫直後においてはクロロプラストはチラコイドやグラナの積み重なり構造が密で包膜も明確であり, ミトコンドリアやトノプラストも明らかに認められた. 20°C5日貯蔵では, 収穫直後とほとんど変わらなかった. これに対し, 1°Cに貯蔵した葉では, クロロプラストの外膜の2重膜は認められたがチラコイドやグラナの積み重なりがまばらになっているものや, クロロプラストの形状が少し膨化しているものがあった. その他にも液胞内に電子密度の高い物質が認められたり, トノプラストの乱れが観察された. また, ミトコンドリアのクリステがやや不明瞭になっているものも一部観察された.以上のように, 低温(1°C)に貯蔵したヨウサイにおいて細胞内小器官に形態的変化が観察されたが, 特にクロロプラストでは他の小器官よりも変化が顕著でクロロプラストの低温感受性の高いことが認められた.
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