ヨウサイ (Ipomoea aquatica Forsk.) の低温障害発生に伴うK+漏出速度, 遊離アミノ酸含量並びにフェニルプロパノイド代謝の変化
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概要
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1. ヨウサイを1, 6, 9, 12, 15, 20及び30°Cに貯蔵したところ, 1〜9°Cで低温障害が発生し, また茎の先端から2〜3枚までの若葉と若茎が褐変した. 成熟葉も後に暗緑色化したが, 相対的に成熟葉は低温耐性が大であった. 収穫時のヨウサイのK+漏出速度に対するアレニウスプロットをとると, 10〜16°C付近で break が起こり, この温度付近がヨウサイの生体膜相転換の臨界温度であろうと推定した. 1°C及び15°C貯蔵のヨウサイについてK+漏出速度の変化を調べると, 1°Cの若葉において障害発生前に著しい増大が認められたが, 成熟葉ではほとんど変化しなかった.2. 貯蔵中の遊離アミノ酸の変化を調べたところ, アラニンが低温で急激に増加した. フェニルプロパノイド代謝の出発物質であるチロシンとフェニルアラニンは, 15°C貯蔵では増加し, 低温下では障害発生前に増加した後減少した.3. ヨウサイの褐変基質としてカフェー酸及びクロロゲン酸の存在が確認された. フェニルアラニンからクロロゲン酸へと代謝される経路に位置するフェニルプロパノイド類の貯蔵中の含量変化を調べたところ, 低温区では15°C区に比べ障害発生前に大きく増加, あるいは15°C区における増加に先行して増加した.4. クロロゲン酸生成の前段階で重要な役割を持つヒドロキシシンナモイル CoA リガーゼ (CL) の特性を調べたところ, ヨウサイではカフェー酸に対する基質特異性が大であった. CL活性は1°C及び15°C貯蔵ともに増大した後減少したが, 1°Cでの増大が早く, 障害の出現する前にピークに達した. 同様の変化が, クロロゲン酸生成の最終段階に関与するカフェオイル CoA: キナ酸ヒドロキシトランスフェラーゼ (CQT) においてもみられた. 若葉中のCQT活性は1°C貯蔵のものが15°C貯蔵のものより顕著に増大した.
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