高二酸化炭素貯蔵条件でのビワ果実の褐変障害とフェノール物質の変動
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概要
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ビワ果実の高二酸化炭素と低酸素による果実褐変障害の機構を解明するために, 果実の褐変基質であるフェノール物質の高CO_2条件での動態およびクロロゲン酸生合成に関する酵素活性の変化を調べた.ビワ果実の褐変障害は果心褐変と表面褐斑がみられ, それらは高二酸化炭素条件下で著しく起こったが, 2%O_2およびAir区では少なかった.12%CO_2(88%Air)と12%CO_2+2%O_2で貯蔵中のビワ果実では全フエノールとヒドロキシ安息香酸以外のフェノール物質含量は貯蔵中にいったん増加し, 貯蔵5日後には減少したが, カフェー酸は著しく増加を続け, 貯蔵10日後にピークを示した.一方, 2%O_2とAir区ではフェノール物質は徐々に減少し, カフェー酸は少し増加した.クロロゲン酸生合成系において主要な役割を果たす酵素であるヒドロキシシンナモイルCoAリガーゼ(CL)とカフェオイルCoA : カフェオイルキナ酸トランスフェラーゼ(CQT)活性およびクロロゲン酸合成の前駆物質生成のkey enzymeであるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)活性は12%CO_2(88%Air)と12%CO_2+2%O_2区でいったん増加したが, Airと2%O_2下ではほとんど増加はみられなかった.この結果から, 高CO_2(12%)により褐変障害の発生とクロロゲン酸含量の増加するとともにそれを支えるPAL, CLおよびCQT活性も誘導されることを見出した.カフェー酸は収穫時のビワ果実では検出されなかったので, これはクロロゲン酸がCQTにより分解したものと考えられた.このように, 高CO_2条件下でビワ果実内のフェノール物質代謝が活発化することが褐変障害の起因に重要な役割を果たしていることを認めた.
- 園芸学会の論文
- 1999-03-15
著者
-
今堀 義洋
大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科
-
今堀 義洋
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
-
今堀 義洋
大阪府大院生命環境科学研究科
-
茶珍 和雄
大阪府立大学農学部
-
上田 悦範
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
-
黒岡 浩
大阪府立大学農学部
-
丁 長奎
大阪府立大学農学部
-
黒岡 浩
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
-
黒岡 浩
大阪府立大学農学生命科学研究所
-
茶珍 和雄
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
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