γ線照射による湘南レッドタマネギの発芽抑制, 付着菌生育阻害ならびに化学的成分の変化

概要

論文の詳細を見る
生食用としては品質がすぐれているが, 貯蔵性の低いといわれる湘南レッドタマネギを用い, 発芽抑制から表面殺菌レベルの線量のγ線を照射し, 化学的成分や品質面への影響ならびに付着菌の生育阻害効果について調べたものである。1. 試料は7月27日に大阪府立放射線中央研究所で, 15〜250 Krad のCo60γ線を照射し, 照射後は室温下で貯蔵した。また試料より分離した菌に対しては寒天培地上で25〜200 Krad のγ線を照射した。2. 15 Krad の照射で完全に発芽は抑制され, 照射を受けたタマネギの内芽はすべてかつ変枯死した。貯蔵中の腐敗と減量は250 Krad 区でもつとも多かつた。3. タマネギ鱗葉の硬度は照射直後125と250 Krad区でかなり軟化するが, いつたん回復し対照区のものに近づく。ただし250 Krad 区はその後急激に軟化する。15 Krad 区は照射の影響は少なく, crispy な状態であつた。ペクチンメチルエステラーゼの活性度は対照区において照射区のそれよりやや低かつたが, 照射各区の差異は明らかでなかつた。4. 還元型アスコルビン酸, アントシアニンは照射直後の影響が大きく, 高線量区ほど減少するが, 貯蔵中の減少率は対照区とほぼ同様であつた。その他糖含量, 揮発性成分, から味度などへの影響を調べた。5. 供試タマネギからはおもに Penicillium 属, Aspergillus 属, Bacteria などの菌類が分離された。寄主中における Penicillium 属や Aspergillus 属の菌は, 照射線量が高いほど生育が阻止されたが, Bacteria の生育は貯蔵中に125 Krad と250 Krad 区において, 対照区より旺盛になることが観察された。寒天培地上でも同様な結果が得られ, Bacteria は200 Krad の線量でも強い抵抗性を示した。

γ線照射による湘南レッドタマネギの発芽抑制, 付着菌生育阻害ならびに化学的成分の変化

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク