甘藷のγ線照射と低温障害について
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概要
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甘藷のγ線照射による生理活性の変動を, とくに低温障害の発現に関連して調べた.品種はコガネセンガンを用い, 照射は発芽抑制に用いられる線量(5〜15krad)を越えて40〜300kradとした.照射甘藷は綿栓つきデシケーターを容器として, 適度の湿度と呼吸を保ちながら13℃(適温)および4℃(低温)で7〜30日間貯蔵した.貯蔵後の外観的変化と成分変化(ショ糖, 還元糖, 澱粉含量, アミラーゼ活性)を調べた結果は次のとおりである.1.γ線照射がコガネセンガンに与える影響として, 第1に, 照射甘藷では13℃適温に貯蔵しても照射線量に比例してショ糖含量が増加しアミラーゼ活性が低下すること, 第2に4℃低温貯蔵区において, 未照射甘藷は30日まで外観的に健全さを保っているが, 照射甘藷では, 照射量に応じて明らかに腐敗の程度がひどくなり, いわゆる低温障害を助長することが観察された.2.甘藷ホモジネート(in vitro系)について上と同様の照射・貯蔵実験を行った結果, 生甘藷の場合(in vivo系)に認められたショ糖増加とアミラーゼ活性の低下といった現象は, in vitro系では認められなかった.したがって, これらの現象はγ線の直接作用の結果でなく, 照射によってひき起こされる生甘藷の生理的反応に基づくものであると考えられる.3.コガネセンガンとミナミユタカのγ線照射に対する感受性を, 酸性インベルターゼ活性を指標として調べたところ, コガネセンガンでは活性の上昇が観察されたがミナミユタカでは変化が認められなかった.したがって, コガネセンガンの方がミナミユタカより放射線感受性が高く, このことは貯蔵性の低さと関連して興味があるところである.
- 鹿児島大学の論文
- 1983-03-15
著者
-
菅沼 俊彦
鹿児島大 農
-
永浜 伴紀
鹿児島大学農学部
-
藤本 滋生
鹿児島栄養専門学校
-
藤本 滋生
澱粉利用学研究室
-
田之上 隼雄
鹿児島県農産物加工研究指導センター
-
菅沼 俊彦
澱粉利用学研究室
-
永浜 伴紀
澱粉利用学研究室
-
松橋 好文
澱粉利用学研究室
-
河野 利治
鹿児島県農業試験場流通加工部
-
永浜 伴紀
鹿児島大 農
-
河野 利治
鹿児島県農試
-
田之上 隼雄
鹿児島県農試
-
田之上 隼雄
鹿児島県農業試験場流通加工部
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