甘藷の温水処理に関する研究 : 汁液分離性について
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概要
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1.甘藷を, 澱粉の糊化をひきおこさない範囲で, 適当な温度条件におくと, 組織が柔軟になって容易に汁液を分離できることを観察した.この現象を応用して, 甘藷を汁液と固形分に分離し, 両者の有効な利用を図ろうとする「温水処理による脱汁方法」を提示した.2.処理条件としては, 65℃の温水に1時間浸漬するとき最も脱汁効果が大きく, 圧搾(1.2kg/cm^2,2分間)により甘藷重量の45%相当の脱汁液が得られた.そして, このような処理を施した甘藷を工業規模の脱汁機に適用した.3.この処理条件では, 組織の酸化還元系の失活をひきおこすことが認められたが, 完全な失活をおこさないでも脱汁性は増加することが認められた.4.水の易動性に関する実験や, 搾汁の際の諸成分の移行状況から, この処理により組織内水分は自由化され, きわめて移動しやすくなったことを実証した.また, 処理によって, 甘藷の細胞はβ-アミラーゼの透過を許す程著しい変化や破壊をおこしていないものと認められた.5.脱汁粕から回収した澱粉は, アミログラムやX線回折図から, 多少難溶化していることがわかった.また, 脱汁粕には大部分のβ-アミラーゼが失活することなく残存し, 抽出により容易に回収された.なお, 本報の実験を行うにあたり, グエン ジーカイ, 最勝寺邦子, 山崎哲二, 大島逸夫, 前屋義孝の諸氏に御協力を願った.また, 工業的脱汁試験は, 鹿児島県工業試験場松久保好太朗氏をはじめ, 朝日工機(株), 富国工業(株), ならびに東亜機械(株)の各会社の御好意によって行なった.記して謝意を表する.本報告の一部は, 日本農芸化学会昭和43年度大会, 同西日本支部昭和44年度大会および日本澱粉学会昭和47年度大会において発表した.
- 鹿児島大学の論文
- 1974-03-20
著者
-
蟹江 松雄
Laboratory of Applied Starch Chemistry
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永浜 伴紀
Laboratory of Applied Starch Chemistry
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藤本 滋生
Laboratory of Applied Starch Chemistry
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蟹江 松雄
Laboratory Of Applied Microbiology
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藤本 滋生
鹿児島栄養専門学校
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永浜 伴紀
鹿児島大 農
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