甘藷澱粉粒子の成長に伴う内部脂肪酸の変化について
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概要
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(1)時期別に掘り取った甘藷塊根の内部組織澱粉を,さらに粒度別に分級したものにつき,アミログラム, X線回折,ヨード呈色値などをしらべ,また内部脂肪酸について検討した. (2)アミログラフィーやX線回折の結果から,それぞれの掘取期の最も小さい澱粉粒子に,その時期の生育温度の影響が最も強く現われていることが明らかである.したがって,小粒子は掘取期に近い過去にできた若い粒子であるとみなされ,また大きい粒子は,それぞれの前回の掘取期当時にも,すでに存在しているものと推定された. (3)アミロースと脂肪酸の含有率はほぼ同様な傾向を示し,同じ大きさの粒子間では掘取期の早いものほど高く,また同一掘取期内では小さい粒子ほど高かった.そして,この脂肪酸含量の違いは,ほぼパルミチン酸含量の多少にもとづくものである.一方,オレイン酸はどの澱粉粒子にもほぼ同じ割合で含有されていることが認められた. (4)以上の結果から,甘藷澱粉粒子の成長に伴う内部脂肪酸の変化について,次のような考察を行なった.すなわち,澱粉粒子の生成当初には特にパルミチン酸が多量に含有され,粒子が層状をなして成長するにつれ,そのとりこみ量は減少するが,一方オレイン酸は粒子の成長にほぼ比例した量で,選択的にとりこまれるにとを推論した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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