麥芽糖と共存する葡萄糖の定量について
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概要
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1. BARFOED試薬の乳酸添加変液の還元は,麦芽糖によつても起されるので,乳酸添加量と加熱時間とについて検討を加え,麦芽糖による還元値を出来るだけ小さくし,一方葡萄糖による値を出来るだけ大きくする如き条件を決定した. 2. 上の条件で葡萄糖に麦芽糖を添加して測定した還元値の増加の傾向から,混液2ccのHANES法による全還元値が常に0.01N Na2S2O3 5.98ccになるように混液の両糖の含量を組合わせれば,混液のBARFOED試薬変液による還元値と混液中の葡萄糖量(又は麦芽糖量)との関係は一つの曲線(標準曲線)で現わすことが出来る. 3. HANES法での葡萄糖・麦芽糖量とそれぞれの還元値の間には直線的関係が成立し,且混液の還元値はadditivity ruleに従うことを確め,此の性質から供試混液を適宜稀釈したり,又は既知量の葡萄糖を加えることによつてHANES法による全還元値を5.98ccにもち来すことの合理性を知り得た. 4. 以上の点から2ccにつきHANES法による還元値が0.01N Na2S2O3 5.98ccになるように加減した供試液についてBARFOED試薬変液を用いて測定した還元値を標準曲線上に求むれば,混液中の葡萄糖及び麦芽糖の含量を知ることが出来,従つて此の方法は葡萄糖・麦芽糖の分離定量法となし得ることを知つた. 5. この分離定量法は葡萄糖2.0〜0.5mgの範囲では平均誤差O.015mgで測定が可能であり,麹糖化液についても満足すべき値で測定可能なことを知り得た. 本研究に当り御指導御鞭撻を賜つた片桐英郎,北原覚雄両教授に篤く感謝の意を捧げる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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蟹江 松雄
Laboratory Of Applied Microbiology
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蟹江 松雄
鹿児島大学農学部澱粉利用学研究室
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木佐貫 操
鹿児島大学農学部農芸化学科
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蟹江 松雄
鹿児島大学農学部農芸化学科
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蟹江 松雄
鹿児島大学
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