高糖系統甘藷の選抜について
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概要
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甘藷の総合利用の観点から, 甘藷品種の育種指標は従来の高でん粉多収穫品種にとどまらず, 今後, でん粉以外の有用成分についても考慮すべき段階にある.そして, 甘藷の脱汁処理の研究にともない, 汁液利用の面から汁液中の糖濃度の高い品種が望まれたので, まず, 糖含量の高い甘藷系統の育成についてその可能性を知ろうと試みた.多数の供試料から高糖系統をスクリーニングするために, まず, Hand Sugar Refractometer(糖度用手持屈折計)による検定を行なった.Refractometerの指度は化学分析値から求めた可溶性全糖%/水分%×100値と相関関係にあり, この方法は高糖甘藷系統の選抜に際し, 迅速にして有用であることが確かめられた.高い指度を示す個体についてはさらに可溶性全糖値を化学分析によって測定し, 第二次スクリーニングを行なった.保存品種(310品種), および高でん粉多収穫品種選抜のため育成中の交配実生個体(7組合せ, 2083個体), 同じく系統予備選抜群(8組合せ, 307系統)などについて上記スクリーニングを行ない, 高糖甘藷として14個体を選んだ.この実験において, 高糖を示す個体の出現率は交配組合せによって異なることが認められた.特にS395-115(♀)×コガネセンガン(♂)の組合せ区では出現率が高く, この組合せから高糖個体として5個体が選抜された.そして, このように高糖個体系統の出現率の高い交配組合せは, 高でん粉個体系統の出現率が高いと期待される組合せでもあることを知った.なお, Refractometerの指度による検定に際し, 高糖だけでなく, 高蛋白甘藷をも見出し得た.上記実験はいずれも1〜2個の個体を用いて行なったので, 選抜されたものについてはさらに増殖の上再現性についての試験が必要である.
- 鹿児島大学の論文
- 1970-03-25
著者
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蟹江 松雄
Laboratory of Applied Starch Chemistry
-
永浜 伴紀
Laboratory of Applied Starch Chemistry
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藤本 滋生
Laboratory of Applied Starch Chemistry
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貴島 志津子
Laboratory of Applied Starch Chemistry
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蟹江 松雄
Laboratory Of Applied Microbiology
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藤本 滋生
鹿児島栄養専門学校
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永浜 伴紀
鹿児島大 農
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