亜熱帯沖縄における天然林の資源植物学的研究 (VI) : 宮古島の資源植物について
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概要
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本研究は, 亜熱帯沖縄における天然林の資源植物学的研究の一環として, 宮古島を対象に森林植物を中心とした資源植物の分布および用途別の分類を行い, 今後の資源植物の収集・保存・増殖および開発・利用を進めていく上での基礎的な資料を得るために行ったものである。調査の結果は次のとおりである。1. 森林資源調査における出現樹種は28種, 樹種別の分布率はCasuarina equisetifoliaモクマオウ38%, Cinnamomum pseudo-pedunculatumヤブニッケイ17%, Pinus luchuensisリュウキュウマツ11%, Acacia confusaソウシジュ6%, Eurya emarginataハマヒサカキ5%, Pongamia Pinnataクロヨナ4%, Diospyros maritimaリュウキュウガキ3%, Hibiscus tiliaceusオオハマボウ3%, Melanolepis multiglandulosaヤンバルアカメガシワ3%の順であった。樹種構成は, 主要島嶼の沖縄島, 石垣島, 西表島に比べて少なく, 単調であった。2. 森林資源調査の推定誤差率は, 平均胸高直径16.4%, 平均樹高11.7%, ha当たり本数26.1%, ha当たり胸高断面積19.1%, ha当たり材積25.3%であった。平均胸高直径および平均樹高は, それぞれ11.0cm, 6.4mであった。ha当たりの本数, 胸高断面積および材積は, それぞれ2,077本, 19.4m^2,76.7m^3であった。3. 宮古島の分布植物は, 在来植物が131科, 405属, 603種で, 外来植物が25科, 64属, 81種であった。そのうち在来植物は広く海外の熱帯地域に分布する植物が120科, 360属, 518種, 国内に限定されて分布する植物が50科, 80属, 85種であった。4. 宮古島と周辺近隣地との在来植物の共通種は, 石垣島563種(93.4%), 西表島559種(92.7%), 沖縄島555種(92.0%)で, 宮古島の約93%の植物が近隣地域に分布している。5. すでに開発・利用されている経済植物は121種で, 全体20%, 未利用・未開発の未経済植物は482種で全体の約80%を占め, 未経済植物は経済植物の約4倍も豊富に自生している。6. 経済植物は, I類, II類, III類の3グループに分類され, それぞれI類32科, 56属, 60種, II類22科, 25属26種, III類24科, 30属, 35種を構成した。7. 用途の民族植物学的分類は, I類とII類で, それぞれ17,7のカテゴリーに分類された。そのうち, I類の主なカテゴリーは用材26種, 薬用14種, 飼料9種, 食用9種, 肥料3種であった。8. 最近, 森林資源の新しい利用法として, 森林バイオマスの活用, 低利用・未利用広葉樹および林床植生の利用について検討が始められている。未利用植物の多い宮古島においても新しい活用・利用法の開発が望まれる。
- 2001-12-01
著者
-
新里 孝和
琉球大学農学部付属演習林
-
新本 光孝
琉球大学熱帯生物圏研究センター
-
平田 永二
琉球大学農学部附属演習林
-
安里 練雄
琉球大学農学部生物生産学科
-
石垣 長健
琉球大学熱帯生物圏研究センター
-
新里 孝和
琉球大・農・附属演習林
-
安里 練雄
琉球大学農学部
-
平田 永二
琉球大学農学部付属演習林
-
石垣 長健
琉球大学熱帯生物圏研究センター西表実験所
-
新里 孝和
琉球大学農学部
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