複層林に関する研究 : 2. 上層が天然生広葉樹林の場合について
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概要
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天然生広葉樹林を上層とする複層林について, 名護市及び国頭村で調査を行い, 上層の林分構造を明らかにすると共に, 下層木のイスノキ及びイヌマキの樹高成長について検討した。その結果を要約するとおよそ次の通りである。1) 施業林分は18∿50年生(平均38年)の壮齢林分で, 天然生広葉樹林の現実林林分材積収穫表(平均地位)と比較して, 直径及び樹高は類似しているが, 本数及び材積についてはかなり高い数値を示している。2) 上層を天然生広葉樹林とする複層林は, 沖縄県の複層林施業指針に示されたリュウキュウマツを上層とする林分の基準本数をかなり上まわっているが, 育成天然林の基準の相対幹距15%と比較すると, およそその線に沿っており, けっして過密状態とはいえない。3) 相対樹高80%以上の上層樹冠は, その大半(75%)がイタジイ及びイジュで占められ, ほかの樹種は少ない。4) 相対幹距は9∿33%の範囲で, 平均約17%となるが, これは, スギ林の中庸度の間伐に相当する。また, 開空率は平均約24%となっていて, 複層林施業指針で示されている30∿40%に比べるとやや低くなっている。5) 下層植生の植被率は相対幹距及び開空率の増加に伴って増加し, 相対幹距約20%, 開空率約40%でほぼ最大に達し, それ以降は一定(約80%)の値を示す。6) 天然生広葉樹林-イスノキの林型では, イスノキの成長は良好で, 健全に生育しているものが多い。連年成長量は平均約16cmで, 相対幹距及び開空率が大きくなるのに伴って増加する。7) 天然生広葉樹林-イヌマキの林型では, イヌマキの連年成長量は9cmであるが, キオビエダシャクの被害が大きく, そのため植栽本数が著しく減少し, 生育不良のものが多くなっている。8) 天然生広葉樹林-フクギ, リュウキュウコクタン特殊林型については, 施業事例が少ないので, 今の段階では, その良否を判断することはできない。しかし, 立地環境に適した複層林施業を目指す上からは, いろいろな林型について積極的に試みるべきであろう。
- 琉球大学の論文
- 1998-12-01
著者
-
新里 孝和
琉球大学農学部付属演習林
-
新本 光孝
琉球大学熱帯生物圏研究センター
-
平田 永二
琉球大学農学部附属演習林
-
安里 練雄
琉球大学農学部生物生産学科
-
新里 孝和
琉球大・農・附属演習林
-
安里 練雄
琉球大学農学部
-
平田 永二
琉球大学農学部付属演習林
-
新里 孝和
琉球大学農学部
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