西表島における牧草地の植生と採食植物(附属演習林)

概要

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熱帯,亜熱帯性資源植物の収集,保存に関する研究の一環として,西表島における原野の植生と牛の採食する植物を調査した。放牧地の植生は,チガヤ,ハイキビ,オガサワラスズメノヒエ,フタシベネズミノオなどが全域の共通種として出現し,やや湿地性の植物と乾燥地性の植物とで植生が異なるところがみられた。放牧地では比較的短期間で植生遷移が進むようで,造成後3年くらいで低木性のアダン,バンジロウ,アカメガシワ,オオバギなどが侵入し,チガヤと2段に層化する。採草地でも除草作業を実行していないところで造成後早い時期に侵入種がみられた。植生の模式図が考えられ,チガヤ草原は採食型群落,非採食型群落,低採食型群落に区分できる。チガヤ草原は放置するとかん木林へと遷移する。低採食性のフタシベネズミノオはとくに出穂時に牛の嗜好性が低下するようで,分散度が早い。採食植物は採食性,非(未)採食性,不明種を含めて,総計163種が記録された。採食植物の最も多い科は,イネ科の25種で,以下キク科,マメ科,アオイ科,カヤツリグサ科,トウダイグサ科の順となる。採食植物は採食の仕方によって,3タイプに区分され,さらに採食痕でいくつかに細分された。
1993-12-01