<学術報告>モウソウチク両用林の生産に及ぼすホウ素とマグネシウムの効果
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概要
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モウソウチク(Phyllostachys pubescens)は主にアジアに分布するが,経済的価値が高いことから広く栽培され,中国では栽培の長い歴史を有している。だがその生産性は未だ低く,ほとんど天然林からの収穫に依存しており,林地肥培などによる栽培技術の向上が望まれている。最近では肥料元素とモウソウチク生産関連の研究も多くなってきた。本報告では筍と竹材の生産を目的とした両用林において,モウソウチクの成長に関与する一般NPK肥料とホウ素,マグネシウムの配合による効果に注目した。実験は中国湖南省,桃江県にある国有林林場で実施した。一般肥料(N-71Kg/ha, P-31Kg/ha, K-59Kg/ha)にホウ素0.5Kg/ha配合した処理区は,一般肥料区と無肥料区に比較して1年生茎の数量,バイオマス量の増大に効果があった。ホウ素配合肥料区は一般肥料区より1年生茎の発生量で20%,バイオマス量で20.6%増大したが,生産量には顕著な差がなかった。マグネシウム配合肥料区(0.5Kg/ha)は,一般肥料区より生産量で17.2%増大したが,1年生茎とバイオマス量に対する効果は明確ではなかった。全実験林で,ホウ素,マグネシウム配合肥料区と一般肥料区は,無肥料区に比較して1年生茎の発生数量,バイオマス量,生産量とも増大効果が見られた。年間収入は,2つの配合肥料区で,無肥料区に比較して50%以上,一般肥料区に比較してホウ素配合肥料区で9%,マグネシウム配合肥料区で14%増大した。林地肥培はモウソウチク林の密度に影響し,マグネシウム配合肥料区では2000本/ha以上で,1年生茎と年間収入とも1500本/ha以下の林分の2倍以上であった。桃江県におけるモウソウチク林の最適密度は約4000本/haである。今回の実験は1400〜2000本/haで遂行された。ホウ素とマグネシウムの効果についてはさらに多くの密度で検証していく必要があろう。
- 琉球大学の論文
- 2002-12-01
著者
-
呉 立潮
琉球大学客員研究員
-
新里 孝和
琉球大・農・附属演習林
-
陳 建華
中国湖南省中南林学院大学資源環境学院環境科学講座
-
胡 日利
中国湖南省中南林学院大学資源環境学院環境科学講座
-
呉 暁芙
中国湖南省中南林学院大学資源環境学院環境科学講座
-
新里 孝和
中級大学農学部附属亜熱帯フィールド科学教育研究センター
-
呉 曉芙
中国湖南省中南林学院大学資源環境学院環境科学講座
-
呉 立潮
中南林業科技大学資源与環境学院:琉球大学熱帯生物圏研究センター
-
新里 孝和
琉球大学農学部
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