第 4 報イスノキ樹下植栽試験地の林分構造(天然生常緑広葉樹林の林相改善に関する研究)(附属演習林)

概要

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本報は,イスノキ樹下植栽試験地の林分構造について,毎木調査及び除伐木の年輪測定の資料を用いて検討を試みたものである。373本の除伐木の年輪査定の結果から,この林分はおよそ50年ほど前に木炭生産のため皆伐され,その後萌芽によって成林したものと推測された。樹種は36種出現するが,この数は沖縄本島北部の天然生林では平均的なものである。内容的には,高木性19種,小高木性15種,低木性2種となっているが,構成割合では高木性が圧倒的に多く,特にイタジイは全本数の28%,全蓄積の52%を占め目立っている。また,樹種の優占度について,優占度-種順位曲線で検討した結果,イタジイは明らかにほかの樹種とはかけはなれていて優占度が高く,林分空間の半分以上を占有し,2番目のイジュから5番目のアデクまでは比較的優占度の順位が明瞭化してきてはいるものの完全に分離するまでには至っていないことがわかった。胸高直径3cm以下の稚樹は40種出現し,その本数はha当たり183,100本にも及び,稚樹の発生が極めて旺盛であることを示している。樹高階毎には50cm未満の稚樹が75%を占め,樹種毎にはイタジイが48%を占めている。樹高と直径の順位曲線に対して2階差分方程式をあてはめた結果,樹高は対称型,直径は非対称型の曲線式がよく適合することがわかった。これは,沖縄の天然生林の林分構造を解明するのに有効的な手法になるものと思われる。なお,試験地の設定並びに樹高の計測に当たっては,演習林技官田場和雄,同大城重太郎,同宮城繁夫,同金城原一郎諸氏のご協力を得た。また,九州大学院生山本一清君には,順位曲線の計算プログラム(新潟大学小林正吾氏の作成したプログラムを改良したもの)を快く提供して頂いた。ここに記して感謝の意を表する次第である。
琉球大学の論文
1991-12-04

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