三重県における地域別食生活実態の公衆栄養学的考察 : 第8報昭和55年,三重県下鈴鹿市庄野小学校および阿山郡大山田村東小学校児童の栄養摂取状態

概要

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三重県における学校給食のあり方についての資料を得る目的で,今回(昭和55年)は第1報(昭和53年)および第2報(昭和54年)にひきつづき,前回と同じ鈴鹿市庄野小学校6年生20名および阿山郡大山田村東小学校6年生12名,合計32名について家庭食事の栄養調査を実施した。ついで,その結果と前回の成績との検討も行なった。(1)昭和55年の学校別児童の家庭食事における栄養摂取状況の標準量に対する充足率をみると,鈴鹿市庄野小学校では,カルシウム,ビタミンAおよびビタミンB_2など,17〜23%の不足がみられた。また,大山田村東小学校では,脂肪,カルシウム,ビタミンA,ビタミンB_1およびビタミンB_2など,21〜33%の不足がみられた。ついで,食品群別摂取状況の目標量に対する充足率をみると,前者では,緑黄色野菜68%,いも類49%,大豆・その製品類25%および乳類16%の不足がみられ,後者では,いも類52%,果実類40%,乳類32%,その他の野菜類8%の不足が目立った。(2)上記の年次別,学校別児童の家庭食事に学校給食の栄養摂取量を加算した場合における1日の栄養摂取状況の年次別推移をみると,両校ともどの年次においても,カルシウム,ビタミンA,ビタミンB_1およびビタミンB_2などの各不足栄養素は,学校給食からの摂取により,おおむねあるいは大幅にそれぞれカバーされていることがわかった。しかしながら,大山田村東小学校における昭和54年の脂肪摂取量のみは,学校給食からの摂取によってもなお補完されず,やや不足をまぬがれなかった。このことは本県における山間部では,脳卒中予防などの従来の栄養指導を必要とする地域が存在することが推察される。(3)食事状況では,平日,家族でそろって食べる児童は,鈴鹿市庄野小学校では朝食36%,夕食63%,大山田村東小学校では朝食52%,夕食42%が認められた。本研究は,昭和56年9月17日第28回日本栄養改善学会において発表したものである。

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