三重県における地域別食生活実態の公衆栄養学的考察 : 第18報昭和61年三重県鈴鹿市庄野小学校学童の家庭における栄養摂取状態(自然科学)

概要

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学校給食を通して,地域社会における,学童の家庭食事に対する栄養指導のあり方を探る,年次別基礎資料を得る目的で,昭和35年より,三重県鈴鹿市庄野小学校および阿山郡大山田村東小学校の両校を対象として,その家庭食事における栄養摂取状態を各年次毎に調べ,その結果は,本紀要および学会に報告してきたが,今回は,工業都市指向型市街化地域である鈴鹿市庄野小学校学童のみを対象とし,栄養調査を実施した。その調査結果は,次のごとくであった。(1)栄養素別平均摂取量と各標準量との間に有意差が認められ,かつ,摂取不足が著しかった栄養素はカルシウムであった。それに反し,標準量との間に有意差が認められ,かつ,摂取過剰であった栄養素は,脂肪であった。個人別栄養素別摂取量の標準量に対する未満児率をみると,最も高率であったのは,カルシウムの75%で,ついで,鉄,ビタミンB_1およびビタミンCの42%であった。更に個人別栄養素別摂取量の標準量に対する20%以上の摂取過剰児率がみられた栄養素は,エネルギーおよび脂肪であった。なお,ナトリウムの摂取過剰児率が,92%も認められた。(2)食品群別摂取量の目標量に対する未満児率をみると,いも類100%,緑黄色野菜類92%,大豆・その製品類,その他の野菜類が83%,油脂類および乳・乳製品類75%で,卵類67%,果実類58%,魚介類50%の順で高率であった。これに反し,獣鳥肉類は33%と未満児率は低率であり,概して「野菜嫌い」,「魚嫌い」の傾向が認められた。(3)上記の栄養素別平均摂取量に学校給食における各栄養基準量を加算した場合は,著しい摂取不足が認められたカルシウムにおいて,学校給食により,その不足が補完されていることがわかった。

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