Mofezolac (N-22)のイヌ経口投与による3カ月間亜急性毒性試験および1カ月間回復試験

概要

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N-22の2, 6および20mg/kg/dayを雌雄ビーグル犬に3カ月間連続経口投与し, その亜急性毒性ならびに2および6 mg/kg/day投与群の回復性について検討を行い, 以下の知見を得た. 1. 一般状態の観察では20mg/kg/day投与群の雌雄に嘔吐, 散発的な血便の排泄, 貧血および横臥状態ならびに衰弱が認められた. また6 mg/kg/day投与群の雌では貧血および舌のびらんがみられた. 2. 投与期間中の死亡例が20mg/kg/day投与群の雌雄各3例にみられ, 胃幽門部あるいは十二指腸の穿孔性潰瘍およびそれに伴う失血, 腹膜炎および一般状態の悪化により死亡した. 3. 体重では雌雄の20mg/kg/day投与群に減少傾向がみられ, 摂餌量および摂水量では雄の2 mg/kg/day以上の投与群および雌の20mg/kg/day投与群で減少が認められた. 4. 尿検査では雄の2 mg/kg/day以上の投与群に尿量の減少および尿比重の増加傾向がみられた. 5. 血液学的検査では雄の2 mg/kg/day以上の投与群に赤血球数およびヘモグロビン量の減少, さらに6 mg/kg/day以上の投与群にヘマトクリット値の減少が認められた. 6. 血清生化学的検査では20 mg/kg/day投与群の雌雄に総蛋白量およびアルブミン量の減少が認められた. 7. 肝および腎機能検査, 眼底検査および心電図検査では著変は認められなかった. 8. 臓器重量では20mg/kg/day投与群の死亡例に胸腺の絶対重量および相対重量の減少が認められた. 9. 病理学的検査では20mg/kg/day投与群の死亡例で胃幽門部あるいは十二指腸の穿孔性潰瘍およびそれに伴う腹膜炎が認められた. 同群の生存例では胃幽門部および小腸に潰瘍痕がみられ, 組織学的には肥厚した胃粘膜下織に好中球浸潤と血管の塞栓のほか, 肝では限局性肝細胞壊死および類洞内細胞浸潤, 腎では間質の細胞浸潤, 尿細管の変性および拡張などが認められた. 6 mg/kg/day投与群の雌では腎に同様な変化がみられたほか, 雄では胸腺の軽度な萎縮が観察された. 10. 上記諸変化のうち, 6および2 mg/kg/day投与群でみられた変化は1カ月間の休薬により, ほぼ回復が認められたことから可逆性の変化と考えられた. 11. 以上の結果から, N-22のビーグル犬における確実中毒量は雌雄ともに20mg/kg/day, 無影響量は雄で2 mg/kg/day未満, 雌で2 mg/kg/dayであると考えられた.
日本トキシコロジー学会の論文
1990-06-30

Mofezolac (N-22)のイヌ経口投与による3カ月間亜急性毒性試験および1カ月間回復試験

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