Proglumetacin maleate のイヌの経口投与による慢性毒性試験
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概要
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PGMの0, 0.6, 2.5および10.0 mg/kg/dayを雌雄のイヌに12箇月間連続経口投与し, その慢性毒性並びに回復性を検討した. 結果を要約すると次の通りである. 1. PGM2.5mg/kg/dayの投与により, 雌では軟便および粘液便の排泄がみられ, さらに10.0mg/kg/dayの投与により下痢便および血便がみられた. 2. PGMの10.0mg/kg/dayの投与により, 投与開始178日目に, 雌の1例が死亡して発見された. この例では, 死亡約1箇月前から, 下痢便および血便の排泄, 体重および摂餌量の減少ならびに貧血がみられ, 剖検では, 茶褐色混濁腹水, 腹腔内臓器の癒着, 消化管粘膜面および漿膜面の充血あるいは出血, 十二指腸起始部における潰蕩が認められた. 3. 生存例では, 体重, 摂餌量および摂水量の推移に, PGM投与による有意な影響はみられなかった. 4.便潜血検査では, 2.5mg/kg/day以上のPGM投与によって, 陽性反応例が雌雄にみられ, 特に雌の10.0mg/kg/day投与群において明らかであった. 5. 尿検査では, 雌雄の各投与群に著変はみられなかったが, 雌の10.0mg/kg/day投与群の死亡例では6箇月目の検査において尿量の減少および尿中電解質の排泄減少がみられた. 6. 血液学的検査では, 雌雄のいずれの投与群においてもPGM投与によると思われる影響はみられなかったが, 雌の10.0mg/kg/day投与群の死亡例の6箇月目の検査では, 貧血および炎症を示す所見がみられた. 7. 血清生化学的検査においては, 雌堆の各投与群に著変は認められなかった. 8. ICGおよびPSPクリアランス試験, 眼底検査および心電図による検査では, 雌雄のいずれの投与群においても, PGM投与によると思われる影響はみられなかった. 9. 投与終了時の剖検においては, 雌雄の各投与群に著変は認められなかった. 1O. 病理組織学的検査においては, 雌の10.0mg/kg/day群の死亡例に十二指腸潰蕩および腹膜炎所見がみられた. 11. 回復期間終了時の諸検査では, 雌雄のいずれの投与群においてもPGM投与による影響はみられなかった. 12. 以上の成績から, PGMをイヌに12箇月間経口投与した場合の無影響量は, 0.6mg/kg/day, また確実中毒量は雄で10.0mg/kg/dayを上回り, 雌で10.0mg/kg/dayと考えられた.
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1987-02-28
著者
-
山下 和正
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
井本 精一
株式会社化合物安全性研究所
-
青木 道子
株式会社化合物安全性研究所
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新保 幸太郎
株式会社化合物安全性研究所
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山下 和正
大鵬薬品工業
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