Suplatast tosilate (IPD-1151T)のイヌ経口投与による52週間反復投与毒性試験および5週間回復試験
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概要
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雌雄のビーグル犬にIPD-1151Tを30, 90, 270および810mg/kgの投与用量で52週間にわたり1日1回強制的に経口投与し, さらに対照群および810mg/kg投与群については投与終了後5週間の休薬期間を設けて回復試験を行った。1. 一般状態観察成績において, 投与期間中, 雌雄の270mg/kg以上の投与群で軟便, 粘液性および水様性の下痢便の排泄が観察されたが, 休薬により異常便の排泄は観察されなくなった。また, 810mg/kg投与群の雌の1例では投与第17週目に四肢および頚部の震え, 歩行困難, 自発運動の低下, 全身性の間代性痙攣等が観察されて投与第118日目に死亡して発見され, また同群の雄の1例では投与第32週目から投与第52週目の投与終了時まで全身の震えおよび異常歩行等が観察された。2. 体重の推移においては, 生存例では投与期間中を通して雄の810mg/kg投与群で体重増加抑制傾向がみられた。810mg/kg投与群の雌雄各1例では神経症状発現後急激な体重減少がみられたが, 雄1例ではその後回復が認められた。3. 摂餌量の推移においては, 810mg/kg投与群の雌雄各1例で神経症状発現後全く摂餌がみられなくなったが, 雄1例ではその後回復がみられた。4. 血液学的検査成績においては, プロトロンビン時間の延長が投与第26週目に雄の270mg/kg以上の投与群で, 活性部分トロンボプラスチン時間の延長が投与第52週目に雄の810m9/kg投与群で認められた。5. 血液生化学的検査成績においては, アルカリフォスファターゼ活性, GPT活性およびLDH活性の上昇が投与期間中に雌雄の810mg/kg投与群の少数例で認められた。6. 尿検査, 眼科学的検査, 心電図検査および便潜血検査の各成績ならびに器官重量の測定においては, 著変は認められなかった。7. 病理形態学的検査成績においては, 死亡例で, 心底部漿膜下の出血, 肺の鬱血, 肝臓の鬱血および空胞形成, 脳の血管周囲の軽度の細胞浸潤等が認められた。8. 以上の所見から, 本試験条件下でのIPD-1151Tの無影響量は雌雄とも90mg/kgであり, またIPD-1151Tの投与終了後の回復性は速いものと推察された。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1992-05-11
著者
-
稲田 浩子
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
-
青木 道子
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
-
関 剛幸
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
-
関 剛幸
食品薬品安全センター秦野研究所 毒性部毒性学第1研究室
-
小島 幸一
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
青木 道子
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
大滝 恒夫
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
関 剛幸
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
吉村 慎介
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
池田 久
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
川口 久喜
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
-
勝村 英夫
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
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山口 一喜
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
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稲田 浩子
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
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山下 和正
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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吉村 慎介
(財)食品薬品安全センター 秦野研究所 病理部
-
山下 和正
大鵬薬品工業
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