Angiotensin I 変換酵素阻害剤 captopril の実験的毒性研究 : 第4報 ビーグル犬における3ヵ月亜急性毒性について
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概要
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Angiotensin変換酵素阻害剤(ACEI) captoprilの3ヵ月間に亘る連続経口投与によって, どのような毒性を示すか, またその用量幅を知るために 10, 30, 100 および 200 mg/kg/dayを雌雄ビーグル犬に投与して検討した。投与期間中, 最高用量群の4頭中の1頭が気管支肺炎を併発して死亡した以外死亡例はなかった。毒性的一般症状として, 10 mg/kg群を除いて, 30 mg/kg以上の投与群に投与後一過性の流涎がみられ, 100 mg および 200 mg/kg投与群の雄7頭中4頭, 雌7頭中2頭に嘔吐を伴うこともあった。また100 mg/kg以上の投与動物には用量依存性に頚部, 前胸部および腹部に紅斑と丘疹を主体とした皮膚の発疹が認められた。組織学的検査で, 真皮に円形細胞浸潤があり, 浮腫および血管拡張さらには表皮のparakeratosisを伴ったhyperkeratosisが観察された。血液学的検査で, 100 mg/kg以上の群に軽度な貧血傾向がみとめられ, 骨髄の赤血球造成系細胞の増加が認められたが, 骨髄抑制像はみられず, 他方脾臓および肝臓にはhemosiderosisを伴っていた。以上の所見は溶血性貧血によるものと推察された。なお本剤によるACE阻害作用の結果, 血漿renin活性(PRA)の上昇が雌雄30mg/kg群以上でみられ, 組織学的に芳糸球体細胞(JG cell)の肥大を伴った増生および顆粒の増加が観察された。これらは予想された通りであったが, 他の諸臓器には著変がみられなかった。生化学的検査で, BUNの軽度な上昇とALP, GOT活性の減少傾向をみとめた。以上の結果を総括すると, ビーグル犬に3ヵ月間連続経口投与した場合のcaptoprilの確実毒性量は100 mg/kg, 無影響量はほぼ10 mg/kg前後と推察される。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1981-12-25
著者
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今井 清
Food And Drug Safety Center Hatano Research Institute
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今井 清
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
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大滝 恒夫
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
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吉村 慎介
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
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橋本 虎六
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
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橋本 虎六
食品薬品安全センター秦野研究所
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吉村 慎介
(財)食品薬品安全センター 秦野研究所 病理部
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今井 清
食品薬品安全セ 秦野研
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