Angiotensin I 変換酵素阻害剤(ACEI), captopril の実験的毒性研究 : 第1報 マウス及びラットにおける急性毒性について
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概要
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Angiotensin変換酵素阻害剤captoprilの経口, 静脈内および皮下投与による急性毒性試験を, ICR系マウスおよびSprague-Dawley系ラットを用いて実施した。Captoprilの経口投与によるLD_<50>は, 雄マウス: 424g mg/kg, 雌マウス: 5050 mg/kg, 雄ラット: 4336 mg/kg, 雌ラット: 4245mg/kgで, 中毒症状として自発運動の減少, タール状軟便(マウス), 下痢, 流涙, 流涎, 体温低下がみられた。死亡時間は, マウスの場合投与後4-24時間, ラットの場合3-36時間で, 死亡例には腺胃粘膜の出血性糜爛ないし潰瘍形成がみられた。なお, マウスの一部の例では, 投与後3日頃より尾端の壊死が認められた。静脈内投与によるLD_<50>は, 雄マウス: 3154 mg/kg, 雌マウス: 3255 mg/kgであり, 筋の硬直と呼吸停止により投与後3分以内で死亡する例(早期死) と, 呼吸停止が1分程度持続した後に, 弱い呼吸運動が始まり, タール様軟便の排泄, 自発運動の消失ならびに体温低下を伴って死亡する例(遅延死)がみられた。病理学的にみると, 早期死亡例では, 諸臓器のうっ血以外には著変がなく, 遅延死例では腺胃粘膜の出血性摩憫と肝細胞の空胞形成がみとめられた。 1週間生存例では, 各投与群の一部の例の肝臓に, 直径0.5 mm程度の円形の壊死巣が認められた。ラットでは, 雌雄ともに技術的投与限界量とみなされる1600 mg/kgの投与に耐過し, 中毒症状とじて軽度の流涙と自発運動の減少をみとめたにすぎなかった。Captoprilの皮下投与におけるLD_<50>は, マウスでは雌雄ともに2400 mg/kg以上, ラットでは雌雄ともに1200 mg/kg以上であった。全身的中毒症状としては2400 mg/kgを投与したマウスの1例がショック様症状を伴って死亡した以外に, 他の例には特記すべき変化が認められなかった。注射局所の皮膚には, マウスの1600 mg/kg以上の投与群, ラットの1200 mg/kg 投与群に壊死が認められた。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1981-12-25
著者
-
今井 清
Food And Drug Safety Center Hatano Research Institute
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今井 清
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
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橋本 虎六
財団法人 食品薬品安全センター 秦野研究所
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林 裕造
国立衛生試験所病理部
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林 裕造
Department Of Pharmaceutical Sciences Kitasato University
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橋本 虎六
食品薬品安全センター秦野研究所
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今井 清
食品薬品安全セ 秦野研
-
林 裕造
国立衛生試験所安全性生物試験研究センター
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