Mofezolac (N-22)のラットにおける52週間経口投与慢性毒性試験および5週間回復試験
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概要
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N-22の5, 20, 60および120mg/kgを雌雄のWistar系ラットに52週間連続経口投与し, その慢性毒性および5週間の休薬による回復性を検討した. 1. 雄では投与によると思われる一般状態の変化は認められなかった. 雌では120mg/kg投与群で血尿, 皮膚蒼白, 体重増加抑制が認められ, 眼科的検査において網膜の蒼白化が1例認められた. さらに, 同群の9例については全身状態が徐々に悪化して衰弱し, 死亡または瀕死のため切迫屠殺した. 2. 尿検査では120mg/kg投与群の雌雄に尿量の増加, 浸透圧の低下が, さらに, 雌には比重の低下, 蛋白質および潜血陽性例ならびに尿沈漬での赤血球陽性例の増加傾向または増加が認められた. 60mg/kg投与群の雌にも尿量の増加, 浸透圧および比重の低下が認められた. 3. 糞便検査では120mg/kg投与群の雌雄に潜血反応陽性例の増加傾向が認められた. 4. 血液学的検査では120mg/kg投与群の雌雄および60mg/kg投与群の雌に赤血球数, ヘモグロビン量, ヘマトクリット値の減少など貧血所見が認めろれた. また, 120mg/kg投与群の雌雄に血小板および網状赤血球率の増加, 好中球比の増加あるいは増加傾向が, 雌にプロトロンビン時間と活性化部分トロンボプラスチン時間の短縮, フィブリノーゲン量および白血球数の増加が認められた. 5. 血液生化学的検査では120mg/kg投与群の雌に尿素窒素量, クレアチニン量, 尿酸量, 無機リン量およびカリウム量の増加または増加傾向と総蛋白質量, アルブミン量, A/G比, GOT活性, GPT活性, コリンエステラーゼ活性, 総ビリルビン量およびγーグロブリン比の減少または減少傾向, α_1-, α_2-グロブリン比およびトリグリセライド量の増加が認められた. 同群の雄では総蛋白質量の減少およびα_2-グロブリン比の増加が認められた. 6. 病理学的検査では120mg/kg投与群の雌雄に胃または小腸の糜爛, 潰瘍, 出血および粘膜の再生が認められ, さらに, 雌に腎臓重量の増加, 腎臓表面の粗〓化, 瘢痕, 尿細管または乳頭管の拡張, 脾臓および副腎の重量増加あるいは肥大, 腸間膜リンパ節の肥大, リンパ球増生およびリンパ洞拡張が認められ, 肝臓, 脾臓または骨髄の髄外造血あるいは造血充進が認められた. 雄では雌でみられた上記諸変化の一部が少数例に認められた. 60mg/kg投与群においても雌雄で胃の潰瘍, 糜爛および粘膜の再生が認められ, 雌では腎臓の尿細管拡張, 腸間膜リンパ節のリンパ洞拡張が認められた. また, 雌では20mg/kg以上の投与群で肝細胞の滑面小胞体の拡張が, 120mg/kg投与群ではさらに肝臓重量の増加も認められた. 7. N-22投与で認められた一般状態の変化, 貧血, 消化管や腎臓の障害などの諸変化は5週間の休薬により回復傾向がみられたが, N-22投与の影響が比較的強く現れた120mg/kg 投与群の雌では, 特に腎臓障害からの回復が遅れる傾向がみられた. また, 20mg/kg以上の投与群の雌では回復期間終了後においても肝細胞の滑面小胞体の拡張が認められた. 8. N-22のラットを用いた52週間経口投与慢性毒性試験における無影響量は雄では20mg/kg, 雌では5mg/kgと考えられた.
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1990-06-30
著者
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桑田 雅彦
大鵬薬品工業株式会社 研究開発本部 安全性研究所
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児玉 龍平
(株)パナファーム・ラボラトリーズ
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山下 和正
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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山下 和正
大鵬薬品工業
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一鬼 勉
株式会社パナフォーム・ラボラトリーズ 安全性研究所
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一鬼 勉
株式会社 パナファーム・ラボラトリーズ
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佐藤 喜代隆
株式会社 パナファーム・ラボラトリーズ
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古川 浩美
株式会社 パナファーム・ラボラトリーズ
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桑田 雅彦
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全研究所
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児玉 龍平
株式会社 パナファーム・ラボラトリーズ
-
那須 雄三
株式会社 パナファーム・ラボラトリーズ
-
曽根 久雄
株式会社 パナファーム・ラボラトリーズ
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