Suplatast tosilate (IPD-1151T)のラット経口投与による52週間反復投与毒性試験および5週間回復試験
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概要
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IPD-1151Tをラットに50, 300および1800mg/kgの投与量で52週間経口投与し, その反復投与毒性ならびに回復性を検討し, 以下の知見を得た。1. 一般状態の観察では1800mg/kg群の雌雄に投与後一過性の流涎と投与初期より排泄物に本剤の特異臭が認められ, 雄1例, 雌6例に呼吸緩徐, 間代性・強直性痙攣, 腹臥あるいは横臥姿勢, 皮温低下, 異常歩行, 四肢麻痺などがみられ, 発症後早期に瀕死状態に陥ったため, 切迫屠殺を実施した。2. 体重の推移では1800mg/kg群の雌雄で投与初期より対照群に比べて低値を示した。3. 摂餌量の推移, 尿検査, 糞潜血検査, 血液学的検査, 眼料学的検査には著変はみられなかった。4. 血液生化学的検査では300mg/kg以上の群の雄にトリグリセリドの減少がみられた。5. 病理学的検査では切迫屠殺例に病理組織学的変化として, 大脳の側頭葉皮質浅層および尾状核の神経細胞の変性, 壊死および神経網の粗鬆化, 小脳の顆粒層に顆粒細胞の壊死, 脱落, 神経網の粗鬆化, プルキンエ層にプルキンエ細胞の壊死, 脱落, Bergmann細胞の腫大などがみられた。一方,生存例では300mg/kg以上の群の雄および1800mg/kg群の雌の肝に重量比の増加がみられ, 組織学的に1800mg/kg群の雄に小葉中心性の軽度な肝細胞の空胞化および肥大が, 同群の雌の極く小数例に上記大脳および小脳の変化が軽度に認められた。電顕検査では1800mg/kg群の雄に肝の滑面小胞体の増生がみられ, 同群の雌に小脳の小顆粒細胞由来と思われる細胞に核クロマチンの凝縮, 核および細胞質の電子密度の増大, ミトコンドリアの集積および空胞化など類壊死様変化が, 大脳の神経細胞に核および細胞質の電子密度の増大, 細胞質の空胞化および膜様変性構造形成, ミトコンドリアの腫大, 粗面小胞体の減少および拡張などが認められた。6. 回復群では病理学的検査において180mg/kg群の雄に電顕的に小脳の有髄神経線維の変性が軽度に確認された。一方, 一般症状, 体重の推移あるいは各種検査値はいずれも回復ないし回復傾向を示し, 可逆性の変化であった。 7.本試験における無影響量は雄が50mg/kg, 雌が300mg/kgと推定された。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1992-05-11
著者
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桑田 雅彦
大鵬薬品工業株式会社 研究開発本部 安全性研究所
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入村 兼司
大鵬薬品工業株式会社 研究開発本部 安全性研究所
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山下 和正
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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入村 兼司
大鵬薬品工業
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樫原 昭裕
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
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山下 和正
大鵬薬品工業
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黒川 恭子
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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桑田 雅彦
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全研究所
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