新規抗悪性腫瘍薬S-1ならびに,その新規配合成分CDHPおよびOxoの単回経口投与毒性試験
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概要
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S-1,CDHPおよびOxoのマウス, ラットおよびイヌにおける単回経口投与毒性を検討し,以下の結果を得た。1. マウスあるいはラットでは, S-1投与により下痢便の排泄,脱毛などがみられた。その後,重篤な例では削痩,貧血色,呼吸緩徐などを呈し死亡した。CDHPおよびOxoでは,投与日に軟便,下痢便などの排泄がみられたのみであった。2. イヌでは, S-1投与により嘔吐,下痢便,粘液便あるいは軟便の排泄がみられた。CDHPおよびOxoでは,投与日および翌日に軟便,下痢便の排泄,嘔吐などがやや頻繁にみられた。3. S-1投与によるマウス,ラットあるいはイヌの病理学的検査は,肺の欝血・水腫, リンパ系組織の萎縮,白脾髄および腸間膜リンパ節でのリンパ球数の減少,骨髄細胞の減少,肺,肝あるいは脾などに細菌塊が認められた。4. S-1のLD_<50>値は, FT量としてマウス(雄)では549 mg/kg,ラット(雌雄)では441〜551 mg/kgおよびイヌ(雄)では概略の致死量は53 mg/kgであった。CDHPおよびOxoのLD_<50>値あるいは概略の致死量は,ラッド(雌雄)およびイヌ(雄)ではいずれも2000 mg/kg以上であった。5. S-1投与による死因は,循環器系障害,造血系障害およびリンパ系障害による免疫抑制と考えられた。また,S-1の毒性は配合されているFTの活性代謝物である5-FUの毒性を反映しており,CDHP およびOxoを配合したことによる新たな毒性の発現は認められなかった。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1996-11-27
著者
-
入村 兼司
大鵬薬品工業株式会社 研究開発本部 安全性研究所
-
林 泰司
大鵬薬品工業
-
大前 重男
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
-
広田 富夫
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
入村 兼司
大鵬薬品工業
-
田中 剛太郎
JEMS MMSトキシコゲノミクス共同研究グループ
-
田中 剛大郎
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
-
林 泰治
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
広田 富夫
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
-
広田 富夫
大鵬薬品工業(株)製薬センター安全性研究所
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