PREDNISOLONE FARNESYLATE (PNF)ゲルのビーグル犬を用いた経皮投与による52週間反復投与毒性試験および8週間回復試験
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概要
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合成糖質コルチコイド製剤PNFゲルの0.05, 0.2および0.8mg/kgをビーグル犬に52週間経皮投与し, その毒性を検討するとともに, 回復性について検討した。1. PNFゲル群に死亡動物は認められなかった。しかし, 塗布部皮膚の貧毛がPNFゲルの各群に観察され, その発現頻度に投与量との相関がみられた。回復期間中では, この貧毛は0.8mg/kg群では投与期間終了時と大差なかったが, 0.2mg/kg群では回復傾向がみられた。2. 体重では, 0.2mg/kg以上の群で体重の増加抑制傾向がみられ, 0.8mg/kg群の雌1例で投与52週に体重や摂餌量の減少がみられた。 3. 血液学的検査では, 0.2mg/kg以上の群の雄あるいは雌でリンパ球比率の低下傾向が認められた。4. 血液生化学的検査では, 0.8mg/kg群で遊離脂肪酸の上昇ないし上昇傾向, 個々の動物でみると0.2ないし0.8mg/kg群ではGPT活性の上昇やAlP活性の上昇がみられた。5. 病理学的検査では, 0.8mg/kg群で肝臓重量の増加, 副腎および胸腺重量の減少がみられた。また, PNFゲルの各群で塗布部皮膚の非薄化と付属器の萎縮, 0.2mg/kg以上の群で副腎の束状帯および網状帯に萎縮, 0.8mg/kg群の雌雄で肝臓に小葉中間帯の肝細胞腫大, 胆管上皮の空胞化を伴った腫大, 胃壁細胞の腫大, 胸腺に萎縮が認められた。なお, 回復期間終了時では副腎や塗布部皮膚の変化を除き, ほとんどの変化が消失した。6. 以上に示した如く, 0.05mg/kg以上の群で塗布部皮膚の貧毛と皮膚の非薄化や付属器の萎縮, 0.2mg/kg以上の群で血液学的, 血液生化学的あるいは病理学的変化がみられたが, いずれも副腎皮質ステロイド剤投与により一般的に観察される可逆性の変化であった。従って, PNFゲルのビーグル犬における経皮投与による52週間慢性毒性試験では, 各群でみられた塗布部皮膚の貧毛, 非薄化や付属器の萎縮を除外して考慮した毒性学的無影響量は雌雄とも0.05mg/kg, 確実中毒量は0.8mg/kgと判断された。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1992-11-30
著者
-
田村 一利
株式会社ボゾリサーチセンター
-
長島 吉和
株式会社ボゾリサーチセンター 函南研究所
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赤井 弘幸
株式会社ボゾリサーチセンター 函南研究所
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田中 剛太郎
JEMS MMSトキシコゲノミクス共同研究グループ
-
田中 剛太郎
大鵬薬品工業
-
田中 英嗣
株式会社クラレ中央研究所 医薬開発グループ
-
田中 剛大郎
大鵬薬品工業株式会社製薬センター安全性研究所
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田村 一利
株式会社 ポゾリサーチセンター 御殿場研究所
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長島 吉和
株式会社 ボソリサーチセンター 函南研究所
-
赤井 弘幸
株式会社 ボソリサーチセンター 函南研究所
-
井手 誠
株式会社ボゾリサーチセンター
-
志村 克己
株式会社ボゾリサーチセンター
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