Propiverine hydrochlorideのイヌ経口投与による1年間慢性毒性試験および1カ月間回復試験
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概要
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1. 頻尿改善剤であるP-4の0.3, 1, 3および9 mg/kg/dayをビーグル犬に1年間連続強制経口投与し, さらに1ヵ月間の休薬試験を実施して対照群との比較のもとにその安全性について検討を加えた. 2. 全試験期間を通じていずれの群にも死亡は認められなかった. 3. 1 mg/kg以上の投与群で嘔吐の発現頻度が増加したが, その他に異常は認められなかっ た. 4. 体重, 摂餌量および摂水量の測定ではP-4投与に起因すると考えられる変動は認められなかった. 5. 血清生化学的検査では9 mg/kg投与群の雌雄にγ-GTP活性の有意な上昇が投与6ヵ月に, また総コレステロール, 遊離コレステロール, トリグリセライドおよびリン脂質の有意な減少と雄にGPT活性の有意な上昇が投与12ヵ月にみられた. 雄ではさらにアルブミンの有意な減少が投与9および12ヵ月に認められた. その他9 mg/kg投与群の雌または雄では対照群にみられる総蛋白量の漸増幅およびアルカリ性ホスファターゼの漸減幅が軽度であった. 6. 尿検査では3 mg/kg投与群の雌および9 mg/kg投与群の雌雄にpHの上昇傾向がみられた. 7. 心電図検査・心拍数測定, 眼底検査, 血液学的検査および便潜血検査ではP-4の投与による異常所見は認められなかった. 8. 剖検ではP-4投与に起因すると考えられる肉眼的所見はみられなかったが, 肝臓の実重量が9 mg/kg投与群の雄で, 相対重量が3 mg/kg以上の投与群の雄で有意に増加した. 9. 組織学的検査では細胞質の均質化と増大を特徴とする肝細胞の肥大と細胞質内の同心円状封入物の出現が3 mg/kg以上の投与群の雌雄で観察された. 電顕的検索ではこれら組織学的変化に一致する所見として滑面小胞体の増殖が1 mg/kg以上の投与群の雌雄で, 層板小体の出現が3 mg/kg投与群の雌および9 mg/kg投与群の雌堆に認められた. また, 9 mg/kg投与群の雌1例ではannulate lamellaeが認められた. 10. P-4投与により生じた諸変化は休薬によって著しく軽減するかあるいは消失したが, 肝細胞における組織学的ならびに超微形態学的変化は完全には消失しなかった. 11. 以上の結果, P-4のビーグル犬に対する1年間の連続強制経口投与では9 mg/kg/dayでも充分に安全と考えられたが, 適応性反応と考えられる滑面小胞体の増殖が1 mg/kg/day以上の投与群に認められたため, 無影響量は雌雄とも0.3mg/kg/dayと推定された.
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1989-10-31
著者
-
三浦 浩二
(株)生物科学技術研究所
-
矢田 英昭
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
矢田 英昭
大鵬薬品工業株式会社 安全性研究所
-
奈良間 功
生物科学技術研究所
-
西川 洋史
株式会社生物科学技術研究所
-
山下 和正
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
佐野 正樹
株式会社生物科学技術研究所
-
奈良間 功
株式会社生物科学技術研究所
-
奈良間 功
摂南大学薬学部薬物安全科学研究所
-
黒田 淳二
(株)生物科学技術研究所
-
香田 繁
株式会社生物科学技術研究所
-
住野 昌幸
株式会社生物科学技術研究所
-
黒田 淳二
株式会社生物科学技術研究所
-
三浦 浩二
株式会社生物科学技術研究所
-
土谷 稔
株式会社生物科学技術研究所
-
山下 和正
大鵬薬品工業
-
土谷 稔
(株) 三菱化学安全科学研究所
-
土谷 稔
生物科学技術研
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