10% Nitroglycerin (NT-1 原薬)のウサギにおける胎仔の器官形成期投与試験
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概要
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NT-1原薬 (10% nitroglycerin) の3段階用量 (nitroglycerin として 15, 60, 240 mg/kg/day) を妊娠ウサギ (New Zealand White 種) の胎仔の器官形成期 (妊娠6〜18日目) に, 連日背部に貼付して投与し, 母動物の生殖及び胎仔に及ぼす影響について検索し, 以下の知見を得た。対照群としては, 基剤のみを投与した群 (溶媒対照群) 及び無処置対照群を設定した。1. NT-1原薬投与群及び溶媒対照群に投与皮膚部位に限局して紅斑が認められ, その程度はNT-1原薬投与群では用量依存的に上昇する傾向がみられた。しかし, この反応は投与終了後には消失する一過性のものであった。一般症状では, その他著変は認められず, また, 死亡例の出現もなかった。2. 母動物の体重及び摂餌量推移にNT-1原薬投与の影響は認められなかった。3. 母動物の剖検時に, 腹水, 胸水及び心嚢水の貯留を示す例が各試験群にみられたが, その出現率に群間差はなかった。4. 母動物の卵巣及び子宮内観察において, 妊娠黄体数, 着床数 (率), 生存胎仔数 (率) 及び死亡吸収胎仔数 (率), また生存胎仔の性比, 体重及び胎盤重量に関して, NT- 1原薬投与の影響は認められなかった。5. 生存胎仔の外表異常としては, 無処置対照群に全身性皮下浮腫, NT- 1原薬投与群の 240 mg/kg/day群に片側性唇裂が, 各々一例ずつみられたのみであった。6. 生存胎仔の内臓検査において, 異常は認められなかった。7. 生存胎仔の骨格変異及び異常, 更に化骨数に関する検査において, NT-1原薬投与による影響は認められなかった。以上の結果から, NT-1原薬のウサギ経皮投与における胎仔器官形成期投与試験において母動物の生殖及び胎仔に対する無影響量は, nitroglycerin として 240 mg/kg/day (NT-1原薬として 2.4 g/kg/day) 以上と推定された。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1986-05-01
著者
-
井本 精一
株式会社化合物安全性研究所
-
新保 幸太郎
株式会社化合物安全性研究所
-
中尾 ますみ
株式会社化合物安全性研究所
-
倉元 美由起
株式会社化合物安全性研究所
-
竹内 雅也
株式会社化合物安全性研究所
-
田辺 恒義
東日本学園大学薬学部薬理学教室
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田辺 恒義
北海道大学:東日本学園大学
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