カードランを主とした多糖類混合ゲルの物性

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食品素材として新しい利用法を検索する目的で, カードランと他の多糖類の混合ゲルを試作し, その物性を比較検討した。1. 多糖類混合ゲルはカードラン濃度が低いほど離水量が大きいが, 同濃度でもカードランにカラギーナン, キサンタンガムを混合すると離水は抑制された。2. カードラン, カラギーナン単独ゲルの破断特性についてはいずれも破断エネルギーは大きいが, 両者の混合により破断応力, 破断歪, 破断エネルギーの値は減少した。また, カードランとキサンタンガム混合ゲルでは破断特性の4つのパラメーターともに極めて小さい値であった。3. 走査型電子顕微鏡像観察により, カードランゲルは20nm程度の繊維が凝集して密な網目構造をつくっているが, カラギーナンとの混合により, 繊維はやや太く, 粗い構造となった。また, キサンタンガムとの混合ゲルは約40nmの太い繊維が絡み合って網目構造を形成していることが認められた。4. 官能検査によって各種ゲルのテクスチャー特性を検討したところ, カードランゲルは崩れにくく, 口どけ悪く, 付着性はないが弾力性はあると評価されたが, カラギーナンを混合すると歯切れがよいゲルとなり, キサンタンを混合するとくずれやすく, 付着性はあるが弾力性の少ないゲルとなることが認められた。以上の結果から, カードラン単独ゲルよりも他の多糖類を混合することによってテクスチャーが改良され, カードランのゼリーへの利用の見通しが示唆された。
日本調理科学会の論文
1995-05-20

カードランを主とした多糖類混合ゲルの物性

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