看護技術を支える知識に関する一考察 : 感染予防の文献を通して
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概要
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感染を防止するための知識・技術は,患者の安全を守るために必要な看護技術である。今回,感染予防に関する文献によって科学的知識がどの程度明らかにされているか検討した。その結果,以下のことが明らかになった。1)滅菌物では,鉗子立てなど清潔面が解放された状態のものは落下菌の影響を受け,カストなど蓋があるものは開閉回数が細菌汚染度に影響している。2)簡易手指消毒法ではウエルパスの除菌効果が高く,エタノールは消毒剤を添加した方が除菌効果が高い。また,消毒時に有機物が付着していると殺菌活性を阻害するため,消毒前に石鹸により有機物を除去した方が効果的であることが実証された。MRSAに対してはグルコン酸クロールヘキシジンの殺菌効果は低く,エタノール,ポピドンヨード,塩化ベンザルコニウム,ウエルパス^[○!R],テゴー51^[○!R],強酸性水の殺菌効果が高いことが確認された。3)手洗いでは,医療従事者の手洗いにおいて洗い残しが多いこと,面会家族の手指の細菌汚染が高いことから,医療従事者の適切な手洗いと手指消毒の実施,面会家族に対する手洗い指導の必要性が示唆された。看護婦のMRSA感染患者ケア後の手指については,MRSAの他にも種々の細菌が付着していることが明らかとなり,ケア毎に石鹸で手洗いすることが重要であることが示唆された。4)看護衣は,患者に接する機会が多いほど汚染度が高いこと,ケアの内容によっては毎日交換する必要があることが明らかとなった。また,予防衣を着用しても看護衣から細菌が検出されたことから,従来の着用方法では感染を防ぐことはできないことが明らかになった。5)医療従事者や患者は鼻腔内にMRSAを保菌する可能性があることから,MRSA感染の媒体になり得ることが明らかになった。6)医療従事者は自分自身が感染源になると認識しているが,感染症患者の処置後の手洗いは必ずしも行われているとはいえないことが示唆された。
- 順天堂大学の論文
- 1998-03-29
著者
-
村上 みち子
群馬県立県民健康科学大学
-
鈴木 淳子
順天堂医療短期大学基礎看護学
-
服部 惠子
順天堂医療短期大学
-
小林 佐知子
順天堂医療短期大学
-
村上 みち子
順天堂医療短期大学
-
山口 瑞穂子
順天堂医療短期大学
-
小林 佐知子
順天堂浦安病院
-
定廣 和香子
千葉大学看護学部
-
村上 みち子
元順天堂医療短期大学
-
定廣 和香子
順天堂医療短期大学
-
服部 恵子
順天堂医療短期大学 看護学科
-
山口 瑞穂子
順天堂医療短期大学基礎看護学
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