皮革準備工程の排水処理に関する一知見

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皮革製造における準備工程の排水中で, 有機物による汚染度の高い予備水漬, 本水漬, 脱毛石灰漬と再石灰漬の各排水を酸性化処理して, 水質の浄化の程度を主に有機物による汚濁負荷の除去効果から, 各排水の混合・沈降処理と比較検討した。また酸性化処理により回収された粗蛋白質の性状を調べた。その結果は次の通りである。1) 準備作業の各工程別排水の酸性化処理によるSSの除去率は90%以上であり, TNで38∿92%, CODで44∿86%であり, 特に脱毛石灰漬排水における除去率が高く, SSで97%, TNで92%, CODで86%であった。2) 準備工程の各排水は混合・沈降処理により, 汚濁負荷は削減されるが, 主なものの除去率はSSで57%, TNで22%, CODで25%に過ぎない。さらにこの排水を酸性化することによりSS98%, TN45%, COD74%とそれぞれ除去率が高くなる。しかし, 各工程別に酸性化処理をするとSS92%, TN49%, COD77%と除去率はさらに高くなる。また蛋白質の回収率も工程別に排水を酸性化する方が高くなり, 原料皮有機物を基準として14.1%であった。3) 以上の結果から, 製革排水の有機汚濁負荷の削減は, 工程別に個々の排水を酸性化処理した方が効果的であろうと考えられる。4) 回収蛋白質のアミノ酸組成より推定した蛋白質純度は, 予備水漬と本水漬排水からのもので30%前後であるが, 脱毛石灰漬で60%以上, 再石灰漬で50%以上であった。
神戸大学の論文
1983-01-30

皮革準備工程の排水処理に関する一知見

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