皮革の熱変性に関する研究 (VIII) : 加脂クロム革の比較的高温熱処理の影響
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概要
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クロム革を加脂剤の量および種類(中性油として, 牛脚油, スピンドル油, タラ油およびヒマシ油, ならびに硫酸化油)を変えて加脂を行ない, 得られた製出革について, 比較的高温熱処理の影響を物理的性質の変化および水抽出物の組成の変化から考察した。[table] 1) 加脂したクロム革の熱処理による物理的性質の変化が認められるが, その程度は非常にわずかであり, 加脂剤の量およびその種類それぞれの間に差はほとんど認められなかった。そして, 加脂しない革と比較して, 水分による影響が少ない。けれども, 中性油としてヒマシ油を用いた場合に, 伸びに及ぼす熱処理の影響が他の試料に比較して大きかった。このことは, ヒマシ油が主にオレイン酸のオキシ誘導体であるリシノール酸から成っているためと考えられる。2) 水抽出物の組成について, 溶出窒素量の定量から熱処理による皮構成蛋白質に対する影響は認められなかった。酸度についても, クロム革であり, また硫酸化油を主体として加脂を行なったために, 硫酸根による酸度の増加が認められるはずであるが, 熱処理によりいくぶん増加する傾向が認められる程度であった。
- 神戸大学の論文
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