ホルムアルデヒド鞣し革の安定性に関する研究
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概要
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ホルムアルデヒド(FA)添加量が1.0%, 2.5%又は5.0%の鞣液によって鞣し革を調製し, 水抽出処理がFA鞣し革の安定性に及ぼす影響を, 時間, 温度, pH, 各種酸, アルカリ剤添加などの条件を変えて検討した。安定性の指標にはFA溶出率と液中熱収縮温度(Ts)を用い, 以下の結果を得た。1. 温度50℃で, 1∿16時間水抽出した場合, FAの溶出は2∿4時間において急増し, その後はほぼ一定に達した。溶出率はFA2.5%区と5.0%区において約30%, FA1.0%区では約15%であった。Ts低下はFA1.0%区の方が, FA2.5%区, 5.0%区より大であり, FAの溶出が多いにもかかわらずTsの低下を伴わなかった。2. 温度20∿80℃で2時間水抽出した場合, FA溶出率は温度上昇に伴い増加した。Tsの低下に及ぼす温度の影響はFA含量の低いFA1.0%区において大であった。3. CLARK-LUBSの緩衝液により調整した各pHにおいて抽出した場合のFA溶出率は, FA1.0%区ではpH低下に伴って増加する傾向が認められたが, FA2.5%区と5.0%区においては一定の傾向はみられなかった。Tsの低下はpH1で著しかった。4. 各種酸類による抽出の場合, pH低下とともにFA溶出率は増加し, 両者の間には直線的な関係が認められた。一方, 水酸化ナトリウムによる抽出においては, pHの上昇とともにFA溶出率は減少し, FAの溶出は抑制された。Ts低下は塩酸で大きく, リン酸では僅かであった。5. 温度50℃で, 2時間の水抽出を15回反復した場合, 全FA量の56.7∿80%が溶出され, Tsは9∿10℃低下し, FA鞣しが水に不安定であることを認めた。
- 神戸大学の論文
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