ホエータンパク質濃縮物(WPC)の肉製品への利用に関する研究 : WPCとMyosin B共存系の加熱ゲル特性
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概要
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ホエータンパク質濃縮物(WPC)の肉製品への利用を検討するために,豚ミオシンBとWPCの共存系における加熱ゲルの性質をゲル強度(剛性率)を指標として調べた.加熱によるゲル化現象を温度上昇に伴うゲル強度の変化で調べると,pH 7.0のときミオシンBは70°Cで,WPCは80°Cで安定したゲルを形成した.WPCがゲルを形成するためには,50mg/ml以上の濃度を必要とした.最適ゲル強度は濃度100mg/ml付近で得られた.ミオシンBがpH 6.0で最大ゲル強度を示したのに対して,WPCはpH 6.0ではほとんどゲル化せず,pH 7.0で最も強固なゲルを形成した.また,高塩濃度(0.6M KCl)より低塩濃度(0.3M KCl)の方がWPCのゲル形成能は優れていた.ミオシンBとWPC共存系で80°C,40分加熱をすると,特にpH 7.0よりアルカリ性領域で明らかに単独系より強いゲル形成が認められた.また,pH 7.0の条件下で,10mg/mlミオシンBに共存させるWPCの割合を増していくと,WPCの濃度が50mg/mlから80mg/mlの範囲で加熱ゲル強度の顕著な増加が見られた.最もゲル強度増強率が高かったのはWPC/ミオシンBの比が5の時で,その剛性率は両タンパク質の単独の剛性率の合計の約4倍に達した.これらの結果から,両タンパク質間の相互作用がゲル形成を促進させていることが示唆された.よって,WPCはバインダーあるいは増量剤として肉製品に利用できるものと考えられる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
-
池内 義秀
九州大学大学院農学研究院
-
西川 勲
神戸大学農学部
-
岡山 高秀
神戸大学農学部畜産製造学研究室
-
鈴木 敦士
新潟大学農学部
-
池内 義英
九州大学大学院農学研究院
-
池内 義英
新潟大学農学部
-
池内 義英
九州大学大学院農学研究院 生物機能化学
-
岡山 高秀
神戸大学農学部
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佐藤 俊郎
神戸大学農学部
-
橘川 太一
神戸大学農学部
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