グルタールアルデヒド鞣し革の安定性に関する研究
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概要
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グルタールアルデヒド(GA)添加量が4%又は8%,鞣し液のpHが4又は7で4種類の鞣し革を調製し,水抽出処理がGA鞣し革の安定性に及ぼす影響を,時間,温度,pH,各種酸,アルカリ剤添加などの条件を変えて検討した。安定性の指標はGA溶出率と液中熱収縮温度(Ts)を用い,以下の結果を得た。1. 温度50℃,1∿16時間水抽出した場合,GAの溶出は1時間でほぼ最高に達し,溶出率は0.8∿1.2%であった。GA 4%区,8%区ともにGA溶出率は鞣し時のpH4がpH7より大であった。Tsの抽出時間に伴う低下は認められなかった。2. 温度20∿80℃で2時間水抽出した場合,GA溶出率は40℃より温度上昇に伴い増加し,鞣し時のpH4がpH7より大であった。Tsの低下は60℃以上で認められ,GA含量,鞣し時のpHが高い程僅かであった。3. Clark-Lubsの緩衝液により調整した各pHにおいて抽出した場合のGA溶出率はpH7∿10では低く,pH6以下ではpH低下に伴って増加する傾向が認められた。Tsの低下はpH3以下で大であった。4. 各種酸類による抽出の場合,GA溶出率のパターンやGA溶出率とpHの関係は各々異なっていたが,酸によるpH低下とともにGA溶出率は増加した。一方水酸化ナトリウムによる抽出においては,pHの上昇とともにGAの溶出は抑制された。Tsの低下は過塩素酸で大きく,リン酸で僅かであった。5. 温度50℃で2時間の水抽出を5回反復した場合, 全GA量の1.66∿2.14%が溶出され,GA鞣しは水に安定であることを認めた。
- 神戸大学の論文
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