皮革の線維構造の偏光顕微鏡による研究 (I) : 皮革の製造工程における皮組織の変化

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皮革はコラーゲン線維からなっているが, このコラーゲン線維は光学的に異方体であって複屈折性を有する。すなわち, コラーゲン線維は偏光下で一軸性の結晶として正の複屈折を示す。このことに着目し, 偏光顕微鏡による皮革の線維構造の観察を意図し, まず, 皮の製造工程中の変化を観察した。1. 偏光顕微鏡によって, 準備工程における皮の乳頭層および網様層の組織構造は, コラーゲン線維が複屈折性を示すために, その線維の走行状態が黄色あるいは青色の偏光像で, そしてあざやかな紫紅色で線維間隙が認められた。これらのことは, 鞣剤を結合した革についても同様に観察できた。したがって, 偏光顕微鏡によって, 皮および鞣製革のコラーゲン線維および組織構造が観察し得ることがわかった。2. 原皮は準備工程が進むにしたがって, 化学的あるいは物理的な作用により, コラーゲンに純化されていくことが観察できた。すなわち, 原皮は石灰脱毛時に表皮および毛は脱落し, 乳頭層および網様層の厚度が最大となり, コラーゲン線維束も最も膨潤した状態となる。さらに, これらは脱灰・ベーチングあるいは浸酸と工程が進むと減少し, 網様層においてコラーゲン線維束の間隙は拡大した。クロム鞣製あるいはタンニン鞣製することによって, 皮の乳頭層の銀面の起伏が目立ち, 中和, 染色あるいは再鞣製することによってより顕著となった。また, 乳頭層および網様層の線維構造は, クロム革よりタンニン革の方がより緻密となり, 線維間隙も非常に小さくなることを観察した。
神戸大学の論文

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