皮革の熱変性に関する研究 (IX) : 加脂した植物タンニン再鞣クロム革の比較的高温熱処理の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
植物タンニン再鞣クロム革を加脂剤の量および種類(中性油として牛脚油, スピンドル油, タラ油およびヒマシ油, ならびに硫酸化油単独)を変えて加脂を行ない, 得られた製出革について比較的高温熱処理の影響を物理的性質および水抽出物の組成の変化から考察した。1) 加脂した植物タンニン再鞣クロム革の熱処理による物理的性質の変化が認められるが, この変化の程度はクロム革を加脂した場合と同様に非常にわずかであり, 加脂剤の量およびその種類の変化による差はほとんど認められなかった。しかし, 中性油としてヒマシ油を用いて加脂を行なった革では, 引張強さおよび伸びに対する熱処理の影響が認められ, 有意差も認められた。このことは, クロム革の場合と同様にヒマシ油は主にオレイン酸のオキシ誘導体であるリシノール酸から成っているためと考えられる。また, 加脂しない革と比較して水分による影響は少ないことを認めた。2) 水抽出物の組成について, 溶出窒素量の定量から熱処理による皮構成蛋白質に対する影響は認められなかった。酸度については, 加脂したクロム革の場合と同様のことが認められ, 硫酸化油を主体として加脂したことによる酸度の増加は認められなかった。しかし, 熱処理により酸度はわずかに増加した。
- 神戸大学の論文
著者
関連論文
- グルタールアルデヒド鞣し革の安定性に関する研究
- ホルムアルデヒド鞣し革の安定性に関する研究
- スポット呈色反応による合成鞣剤の判別(ノ-ト)
- 皮革の線維構造の偏光顕微鏡による研究 (II) : 比較的高温熱処理によるコラーゲン線維の結晶構造の変化
- 皮革の線維構造の偏光顕微鏡による研究 (I) : 皮革の製造工程における皮組織の変化
- 梅山豚の肉質に関する研究
- 印伝革の基礎的研究
- クロム革・シェービング屑の脱クロムに関する基礎的研究
- 皮革準備工程の排水処理に関する一知見
- 市販再鞣剤の薄層クロマトグラフィ-(ノ-ト)〔英文〕
- 黒毛和種腿肉の熟成中における筋漿低分子量成分の変化
- 黒毛和種腿肉の熟成中における筋漿蛋白質の変化
- 黒毛和種腿肉の熟成中における物理•化学的変化
- クロムなめし排水の循環利用における浸酸に用いたギ酸の影響
- 皮革の熱変性に関する研究 : IV. 植物タンニン鞣製革の比較的高温熱処理の影響
- 皮革の熱変性に関する研究-8,9-
- 皮革の線維構造の偏光顕微鏡による研究-1,2-
- 皮革の熱変性に関する研究 (IX) : 加脂した植物タンニン再鞣クロム革の比較的高温熱処理の影響
- 皮革の熱変性に関する研究 (VIII) : 加脂クロム革の比較的高温熱処理の影響
- 植物タンニン再鞣クロム革の比較的高温熱処理の影響 (皮革の熱変性に関する研究-4,5-)
- 皮革の構造上の特性と熱伝導率 (皮革の熱変性に関する研究-6,7-)